ありえたかもしれない」もう一人のマリー・キュリーの物語、ミュージカル「マリー・キュリー」が、3月13日(月)に 天王洲 銀河劇場にて幕を開けた。初日前に取材会とゲネプロが行われた。
本作は、元素ラジウムの発見などで2度のノーベル賞に輝いたマリー・キュリーの物語を、Fact(歴史的事実)とFiction(虚構)を織り交ぜて描いた韓国生まれのミュージカル。2021年の韓国ミュージカルアワードで大賞ををはじめ5冠を達成し、2022年にはマリー・キュリーの故郷・ポーランドでの音楽祭に招待され、11月にはロンドンでショーケース公演を開催と、大注目されているミュージカルが日本初公演となった。
取材会には、主演でマリー・キュリー役を演じる愛希れいかと、マリーの夫ピエールを演じる上山竜治、マリーの親友、アンヌを演じる清水くるみ、マリー研究に投資し発見したラジウムを使って時計などを生産するルーベンを演じる屋良朝幸と演出の鈴木裕美が登壇した。
鈴木裕美 上山竜治 愛希れいか 屋良朝幸 清水くるみ
愛希:本当に初日なんだとちょっと信じられない気持ちです。夢中で稽古してまいりました。その稽古期間があっという間で、ほわっとしていると言いますか、これから観て頂くゲネプロで、何かをしっかり掴めたらいいなと思っています。けれどもお稽古をみんなで精一杯やってきたので、それを信じて楽しんでいただけるように、メッセージをお届けできるように、精一杯努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
マリーは猪突猛進といいますか、科学に対する愛がすごいので、私も何か背負って常にやっているみたいなぐらい力が入っていたなと思います。お勧めのシーンは、選べないのですが、ルーベンさんがダンスをされるシーンは特に見どころかと思います。(振り付けも屋良によるとのこと)
屋良:2か月ぐらいですね、結構みっちり稽古させていただいたんですけども、結構早い段階で通し稽古もできて、毎回毎回やるごとにいろんな発見ができて、昨日とか舞台稽古やる中でも発見があったりして、きっとこれ本番中でもまた新たな発見が色々できるんだろうなと思って、それがすごい楽しみです。舞台というライブなので、その瞬間に起こることを楽しんで、チームワークで頑張っていきたいなと思ってます。
(愛希から屋良のダンスシーンがお薦めだと言われて)とんでもないプレッシャーです!(笑)でも、お薦めといえば、裕美さんの感覚はやっぱりおもしろいなぁと思ったのが、こういう作品にストリートダンスというかアニメーションダンスがある。他のミュージカルではあまり見たことがない質感のダンスというか「こういうダンスで歌って踊る人っていないよね」というようなナンバーを躍らせてもらっています。たぶん、おそらく日本初かもしれない。そこに居合わせてもらっているのがすごく楽しい。自分も力を入れた部分で言ったら、自分の武器としてのダンスの部分ではあって、裕美さんが「自由にやっていいよ」と言ってくださって色々アイデア出しながらやってた部分もあるので、それがこの作品に面白く出たらいいなという思いでいっぱいです。
上山:マリーと共同研究しながら、献身的に支えるピエール・キュリーの役を演じさせていただきます。韓国で本当に愛された作品なので、日本のお客さんに、どう受け入れられるのか、反応がすごく楽しみでしょうがないです。
女性の生命力が描かれて、女性がこれだけ輝いている作品はそう無い。ピエールは私史上一番優しい役どころなので、僕としても挑戦。デュエット曲もすごくいい曲なので、早く届けたいという気持ちです。
清水:私はほんとに愛希さんと上山のデュエットが大好きで、稽古場でも泣いちゃうぐらいに好きです。愛のデュエットでもありながら、2人が好きな科学に対しての愛のデュエットでもあるから、素敵な歌詞だし、メロディも本当に素敵です。それを2人が歌われるのを、私は稽古でも「ありがとうございます」と思いながら見てました。
鈴木:みんなで意見を出し合ったり、話し合ったりして、積極的な稽古ができたなという風に思ってます。 ここにいらっしゃる以外の俳優の皆さんもすごく役に合っていて、生き生きと演じてくださっています。楽曲も非常に韓国ならではのエモーショナルな楽曲やコミカルな楽曲、色々な楽曲がありますし、お楽しみいただけるんじゃないかな、というふうに思っております。
(演出ポイントは)このミュージカルが事実にすごく大胆に虚構を織り込むことによって、感情的なエモーショナルな高まりに持っていくっていうものなんですけれども、韓国版では、実は非常にセットなどがゴージャスですが、今回の日本版は「能か?」というぐらいシンプルす。その代わりというか、人間関係が見えるように、それを俳優ともすごく話し合って作ったので、ここにいない俳優たちの1人ずつの人間までもが浮き上がってくるように見えていると祈っています。
【ゲネプロ】
24歳のマリーはポーランドから科学への希望に燃えてパリ行の汽車に乗り込んだ。
そこでアンヌ(清水くるみ)と出会い、共に励むことを誓ったふたりは親友となった。
しかし、ソルボンヌ大学でマリーを待ち受けていたのは、女性・ポーランド人への偏見や差別だった。それに屈せず学ぶマリーは
後に夫となるピエール(上山竜治)と出会い
マリーの研究に興味を持ち研究資金を投資してくれるルーベン(屋良朝幸)の協力を得て研究に邁進する。
苦労の末、ラジウムを発見したマリー。だが、それは新たな困難な研究への始まりだった。
台詞はあるのだが、全編を歌が覆い、歌が物語を進めていく、まさにミュージカル。中でも愛希が歌う楽曲の、なんと多いこと!そして見事に聞かせてくれること!
鈴木の言葉通り、シンプルなセットは人物を浮き上がらせ、紆余曲折を経るマリーの人生を丁寧に描き見せてくれる。
ラジウムの発見と、ラジウムを使った製品が人気を得て大量につくられ、それが労働者の健康を奪っていったという事実。それに対して、マリーがとった行動が、本作と史実とは違うらしい。物語は、終盤へと緊張感が張り詰めていく。
ラジウムを蛍光塗料として闇でも見える蛍光時計が大量に生産された
そこに屋良の華やかなダンスが挟まり楽しませてくれる。
屋良は資本家ルーベンの熱意をダンスに乗せて歌う。
マリーの人生から、描かれたこの時代から、多くを受け取るだろう。同時に、ミュージカルとしての見ごたえもしっかり。中身のぎっしり詰まった感じのするミュージカル「マリー・キュリー」、東京公演は3月26日まで。その後、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。
ミュージカル「マリー・キュリー」
脚本 チョン・セウン
作曲 チェ・ジョンユン
演出 鈴木裕美
翻訳・訳詞 高橋亜子
出演 愛希れいか 上山竜治 清水くるみ
能條愛未 宇月 颯 清水彩花 石川新太
坂元宏旬 聖司朗 高原紳輔 石井 咲 大泰司桃子 / 屋良朝幸
企画製作 アミューズ
公式サイト https://mariecurie-musical.jp/
東京公演
日程 2023年3月13日(月)~3月26日(日)
会場 天王洲 銀河劇場
大阪公演
日程 2023年4月20日(木)~4月23日(日)
会場 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ