Open Close

平間壮一 インタビュー a new musical『ヴァグラント』 「みんなで希望を見て、 夢を見て、未来を見ていけば、何か変えられるかもしれない。一緒に応援し合いましょう」

ポルノグラフィティ新藤晴一が初めてミュージカル制作(プロデュース・原案・作詞・作曲)に挑むa new musical『ヴァグラント』が、2023 年 8 月 19 日(土)~31 日(木)東京・明治座、9 月 15 日(金)~18 日(月・祝)大阪・新歌舞伎座にて上演される。

本作は、「ミュージカルが好きだった」「エンターテイメントとして可能性があると思っていた」と言う新藤晴一が、この6月に再演され多くの観客を号泣させたミュージカル「FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜」でも脚本・歌詞・演出を手掛けた板垣恭一と共に、ゼロから立ち上げるオリジナルミュージカルだ。

描かれるのは、大正時代を舞台に、彷徨う(=ヴァグラント)ものたちの物語。
ダブルキャストで佐之助を演じる平間壮一・廣野凌大をはじめ、小南満佑子・山口乃々華(ダブルキャスト)、水田航生 上口耕平 玉置成実 平岡祐太 美弥るりかという豪華な実力派キャストが出演する。

IMG_0354rere1rere1

取材に応えてくれたのは、主人公 佐之助を演じる平間壮一。
本作への意気込みと共に、これまでの自身の歩みを踏まえての演技への思いも語ってくれた。(取材は4月末)

IMG_0271rere1rere1

―今回楽しみにされていることは?
まだ深くお話しはできていませんが、日比谷フェスティバル2023(4/30に実施)のリハーサルなどで、何人かのキャストとお会いして、(新藤)晴一さんも来てくださいました。“信念を持っていて、何か訴えたいことを持ってる人たちが集まってるな”という印象を受けました。「ひとつの作品をこの人たちと集まってやると、何か起きるんじゃないかな」という気がしました。
特にダブルキャストで佐之助役を演じる廣野(凌大)くんは、初めて会った気がしないというか、自分と何か似たものを感じました。もし似ているのだとしたら、自分の世界があって言葉の受け取り方や見方がちょっと人とは違うのではないかなと感じましたし、それがこの作品にいい影響を与えそうだと思っています。

―どんな作品なのでしょうか?
台本はこれからですが、100年前のお話です。今の僕らから見たらもう決まってしまっていることですが、自分たちが住んでいる土地や法律について、「あの時にこう変えていたら、今の世界が変わっていたんじゃないか。もっと生きやすい世の中になっていたんじゃないか」と考えさせられるところや、未来の自分たちに向けて「幸せの場所は見つけられたかい?」と問いかけるような曲があったりします。
晴一さんは希望や未来を大事にしていると言っていて、人間模様も描かれますし、「自分たちが生きている日本をもっと良くできるよね」「古いものが全て悪かったわけじゃないし、新しいものが全て良いものではない」というような深いテーマがあるイメージです。

―壮大ですね?
そうですね、大きな事をやろうとしていると思います。でも、その中にも一人ひとりが持つ悩みもあり、いろんな思いが織り交ざっています。

IMG_0333rere1rere1

―オリジナルミュージカルということでゼロから作っていかれるのかと思いますが、どんな心持ですか?
僕は、自分なりに噛み砕いて自分の役にしようという思いが強いタイプの役者だと思うのですが、今回は特定のイメージに完璧に寄せなくていいのが本当に嬉しいです。今回は(廣野)凌大くんとダブルキャストですが、心の明るい部分と闇に触れた時の出し方が、ふたりで違うと思うんです。同じ役だけど違ったままでいいよと脚本・演出の板垣(恭一)さんも言ってくださっているので、全然違う感じになるのではと思っています。

―役作りについて、今考えてらっしゃることは?
今、お芝居を始めて最初にやっていたことを、もう1回しっかりやってみようかなと思うタイミングなんです。例えば、左利きなのか、右利きなのかとか、お父さんはいたかどうかとか。作品には直接関係ないし、お客さんには伝わらないことですが、しっかりやってみようかなと思い直しているところです。これまでもやってはいるんですけど、伝える技量がなかったですし、お客さんに伝わらないと思って少しずつ省いていた部分がありました。
でも役を生きるためには必要だと改めて思っています。
今回は晴一さんが舞台に関わってくれたおかげで、演劇に縁がなかったお客様が劇場に足を運んでくれたり、演劇しか見ていなかった人がフェスに行くようになったりするチャンスかもしれない。エンタメ全体が盛り上がるようにもなるんじゃないかなと思うと、 すごく頑張りたいと思っています。

IMG_0357rere1rere1

―新藤さんとのご縁といえば、平間さんが舞台デビューされた岸谷五朗さん演出の『Frogs』(2007年3月)の主題歌を新藤さんが作曲を手がけておられたんですね。
そうなんです。僕はダンサーになりたくてこの世界に入ったのもあり、舞台前からポルノグラフィティさんのライブを「僕はこういう方々の後ろでダンスをやったりするのかな」と思いながら見ていたので、 その方と一緒に仕事ができるなんて、もう頑張るしかないと感じています。

―夢を叶えてこられましたね。
歌ったりお芝居するようになるなんて、昔の自分には考えられないことでしたね。

―活動の幅を広げてこられたきっかけは?
やっぱり『Frogs』 (再演・2007年9月、2008年2009年)です。当時は「僕はダンスしかやらないんだ」と頑なに言い続けていました。それまでダンスしかやってなくて、でも運よく東京に呼んでもらって北海道から出てきたのに「ダンス以外のことをやるのは、母や皆に約束してきたこととは違う」と、「逃げ道」としか思えなかったんです。でも、(岸谷)五朗さんと出会って「ダンスを上手くなりたいなら、歌も芝居もやれ」「全部が表現で、表現の中に歌、ダンス、芝居がある。それが上手くなったら、ダンスにも繋がってくる。全部やらないと、ダンスはうまくならないぞ」と言われたことが悔しくて、ダンス以外もやることを決めました。

―やってみて、素直に納得されたのですか?
その言葉に納得できたのは、だいぶ年月が経ってからですね。なぜダンスが大好きだったかというと、自分の気持ちを表現することが苦手で、口も開かず踊っている時が一番自分らしくいられたから。「人前で笑ったり、歌ったりなんて恥ずかしい!」と思っていたけれど、五朗さんの稽古のおかげで「恥をかいていいんだ」という世界があるんだと知り、自分も心を開いていったら、人とも会話できるし笑顔になれるし、感動もしてもらえる。おまけにダンスだって踊れる。「いいことしかないな」と思うようになるのには、25、6歳までかかったと思います。それまでは「これは意味があるんだ」と自分に言い聞かせながら芝居や舞台と向き合ってきた気がします。

―歌やお芝居に活動を広げた後も葛藤されていたのですね。
だから今も思うことがあります。自分もアンサンブルをやらせてもらって、そして役を頂くようになりましたが、アンサンブルが一番大変なところを背負っているのもわかっています。しかもそれを踊りや歌で表現しなきゃいけなかったりする。やりがいもいっぱいありますし、今でもいつだってアンサンブルをやりたいと思っています。

―アンサンブルさんたちの気持ちや大変さをわかってる方が真ん中に立つから、チームがうまくいくのかもしれませんね。さて、『ヴァグラント』に話を戻しますが、ビジュアル写真を拝見しましたら、とても印象的な衣裳ですね。本番でもこの衣裳ですか?
髪型などに手直しが入るかもしれませんが、おそらく本番の衣裳になると思います。
僕たちもビジュアル写真を見て、洋服を着ている人がいるかと思えば、布をまとっている人もいて、「どんな話なんだ」「どういう世界観で生きるのだろう」と思いました。時代やいろんなものを飛び越えて、どこかファンタジーっぽさもあって、衣裳も考えられていると思うので、楽しみでしかないです。
そして、歌稽古を見ながら晴一さんが「やっぱり感情が高ぶって歌になるときは、Aメロ(一曲の中で最初にボーカルの歌が入る部分)から盛り上がっていかなきゃな」「こうしておいてよかった」と言ってて。なぜ急に歌が始まるかまで考えて作ってくれていて、楽曲もお芝居に寄り添ってくれるいろいろな20数曲が物語を繋いでいく。すごいことになると思っています。

IMG_0358rere1rere1

―最後に、皆さまへメッセージをお願い致します。
僕たちも人生でぶち当たるところにいる感じがしていています。これからどういうことをやっていこうか、このままでいいのだろうかと、何かにぶち当たっている人たちの思いを、この作品では、役が背負っている悩みや深い思いに重ね合わせてやっていきます。
お客様の中にも「これは自分の悩みだ」と一人で悩んでいる方がいるかもしれません。それを解決できるのは自身かもしれないけれど、同じように悩んでいる人たちがいます。たとえキラキラしてるように見える舞台上の人であっても、人は皆一緒です。“自分1人じゃないんだ。みんなで希望を見て、 夢を見て、未来を見ていけば、何か変えられるかもしれないね”という舞台にしたいと思っていますので、ぜひ観に来てください。一緒に応援し合いましょう。

Vagrantメインビジュアル0428

 

a new musical「ヴァグラント」
プロデュース・原案・作詞・作曲:新藤晴一(ポルノグラフィティ)脚本・演出:板垣恭一
出演:
平間壮一・廣野凌大(W キャスト)/小南満佑子・山口乃々華(W キャスト)
水田航生 上口耕平 玉置成実/平岡祐太 美弥るりか

宮川浩 大堀こういち 吉田広大 遠山裕介 加藤潤一 礒部花凜 大月さゆ

山田裕美子 酒井翔子 杉山真梨佳 大泰司桃子 大川永
松村曜生 辰巳智秋 宇部洋之 大村真佑 りんたろう 荒川湧太
吉見彗 杉山穂乃果 脇山桃寧(子役トリプルキャスト)

【東京公演】2023 年 8 月 19 日(土)~8 月 31 日(木) 会場:明治座
■アフタートーク
<8 月 21 日(月)13 時公演>廣野凌大、山口乃々華、美弥るりか、(MC)水田航生
<8 月 25 日(金)18 時公演>平間壮一、小南満佑子、上口耕平、(MC)水田航生
<8 月 30 日(水)18 時公演>新藤晴一、平間壮一、平岡祐太、加藤潤一、(MC)水田航生

【大阪公演】2023 年 9 月 15 日(金)~9 月 18 日(月・祝) 会場:新歌舞伎座
■アフタートーク
<9 月 15 日(金)13 時公演>
新藤晴一、廣野凌大、玉置成実、上口耕平、遠山裕介、(MC)水田航生

■一般発売日【東京公演】発売中
【大阪公演】7月20日(木)AM10:00~
■公式 HP: https://vagrant.jp/
■公式 Twitter・TikTok:@vagrantjp
■東京主催:アミューズ/明治座
■大阪主催:新歌舞伎座
■企画・製作:アミューズ