タレントとしてマルチに活躍する“ちゃあぽん”こと西脇彩華が初主演を務め、本間日陽(NGT48)が出演する舞台「夕凪の街 桜の国」東京公演が、9月1日に開幕した。初日に先がけゲネプロが公開された。
大ヒット映画『この世界の片隅に』のこうの史代による同名コミック(コアミックス刊)を原作にした本作。
原作は第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞し、映画化、テレビドラマ化もされ、戦争とは、原爆とは、そして平和とは何だったのかを問う名作だ。
その名作を、脚本・演出を森岡利行が担当し舞台化。2017年に初演され好評を博し、2019年、2021年と公演を重ねてきた。
今回の公演では、脚本・演出は初演から変わらず森岡利行が担当。キャストには西脇彩華、本間日陽(NGT48)、森田涼花、林勇輝、中原和宏、そして、モト冬樹を迎え、初めての広島公演を成功裏に終えての東京公演となった。
描かれるのは、漫画家志望の石川七波(西脇彩華)の家族の歴史。
ある日、父・石川旭(モト冬樹)の様子がおかしいと後をつけた七波(西脇彩華)。
偶然出会った昔の友人利根東子(森田涼花)と一緒に、父を追って広島に向かう。
そこで、広島で原爆に見舞われた父の家族のことを知るようになる。
旭は水戸に疎開して難を逃れたが、旭の父は原爆で即死。3人の姉のうち、ふたりも亡くなっていた。
時代は戦後の広島。母と生き残った旭の姉・平野皆実(本間日陽)の戦後の暮らしが描かれる。
希望を見出そうとしながらも、原爆の記憶から逃れきれず、自分を責め続ける広島の人々。
亡くなった人はもちろん、生き残った人たちの心に身体に、どれほどの苦しみを与え続けたのか。
客席にはすすり泣きと嗚咽が響いた。
だが悲しいばかりではない。織り交ぜられた音楽の数々が、人生の明るさも照らし、時には希望の光を見せてくれる。
そして、モト冬樹の絶妙のユーモアが、張りつめた空気を緩めてくれる。
やがて七波は、父の生き様を知り、
心の深くに秘めてきた思いに気が付く。
原爆が、戦争が、亡くなった人だけでなく、生き延びた人々、その周りの人たちをどれほど長く辛く苦しめ苛み続けることか。声高ではなく、じんわりと心に沁みるように伝えてくれる。
一人でも多くの人に、世界中に人に見てほしい本作は、全ステージライブ配、アーカイブ配信ありなので、是非、ごらんください。
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舞台「夕凪の街 桜の国」
【広島公演】2023年8月19日(土)広島県民文化センター 多目的ホール(終了)
【東京公演】2023年9月1日(金)~3日(日)新国立劇場 小劇場
出演:
西脇彩華 本間日陽(NGT48)
森田涼花 松田幸起 中原和宏
モト冬樹
林 勇輝 相馬 理 白石彩妃 水谷彩咲
山田奈保 町本絵里 西家貴絵 倉河奈央 朝倉 蒼
山本龍兵 神村 亮 大田樹里 佐藤亜柚 加藤彩音
山本唯奈 長門佑実 鳴島唯莉 七海玲菜 牧野菜穂 日野ゆかり
公式サイト:https://www.straydog.info/2023yunagi
原作情報:
『夕凪の街 桜の国【新装版】』(ゼノンコミックス/コアミックス)
著者:こうの史代 発売:コアミックス
©こうの史代/コアミックス