2023年11月6日に東京・PARCO劇場にて、PARCO劇場開場50周年シリーズ『月とシネマ2023』の初日の幕が開いた。開幕を控え、取材会とゲネプロが行われた。
作・演出はG2。出演は中井貴一 藤原丈一郎(なにわ男子) 永作博美 他。
2021年4月、新生PARCO劇場オープニング・シリーズの掉尾を飾る作品として上演を予定していた、ハートフル・コメディが、2年越しに上演される。2021年公演の際には、セットを組んだ劇場で稽古を1か月やるのも東京公演が中止になり、大阪公演のために稽古を続けるも大阪公演もできず、一度も上演できなかったという悔しさを抱えての上演となった。
G2が叶わなかった初演を踏まえ書き上げた今回の脚本は、練りに練られた仕掛けが満載。笑いも涙もたっぷり仕込まれた極上ヒューマンストーリーとなっている。
舞台写真と会見でのコメントを織り交ぜてレポートする。
中井貴一が7年PARCO劇場に登場するのは7年ぶり。演じるのは、敏腕映画プロデューサー・並木憲次役。
18歳で上京してからは一度も帰らなかった実家…映画館のムーンシネマに父の死をきっかけに帰ると、次から次に問題が明らかに…。
中井「前回公演は1回も誰も見てないので、ほぼ前回にはなっていないので、(今回が)初になると思います。稽古をやりながら、それぞれ芝居を構築していくんですけど、芝居って1番大切なのは お客さんなんだと、すごくわかりました。お客さんがいてくださることによって、芝居は成熟し、進歩していくんだと。お客さんがいない中で芝居をして、いくら稽古しても、なかなか成熟しきれないと。今日初めて、先熟させてくれるお客様と相対することになります。今までちょっと必死すぎたので、どういう風な反応になるか心配ですけど、全員で最後まで、怪我のないように、 お客様に夢を配れるように頑張っていきたいと思います。
この2年の間に一番状況が変わったのは、藤原くん。この企画を始めた頃は、『丈のためにももう1回やるか』というような話でしたが、こんな有名になると思わなかった。ほんと、こんなに人気者になるんだなと。じゃあ、やらなくてもよかったんじゃないかという思いもどっかにあったんです。(笑)」
中井「稽古初日に、(藤原くんは)ガラガラの声できたんですよ!。1人だけ声が出てないっていう最悪な初日。 そこから回復をし、やっと本日に至った次第でございます」(笑)
映画会社の宣伝部の若手社員で、映画マニアでもある小暮涼太役は藤原丈一郎(右から2人目)。稽古初日にガラガラ声だったのは、ライブツアーで声をからしてしまったとのこと。
藤原「今日は関西があれ(阪神優勝)ですごく荒れて盛り上がってますので、 あれに負けないように、今日から 11月、12月、『月とシネマ2023』を盛り上げれられたらなと思います。
本読みの時に、 中井貴一さんに挨拶行った時、お久しぶりと言ってくれるのかなと思ったら、初めまして、中井貴一ですと言われた時は、ちょっと待ってくださいと。あれだけ2年前一緒にやったじゃないですかと思いながら、でも、そういったコミュニケーションを取ってくださいました。(笑)」
並木の元妻でフリーライターの高山万智子役は、確かな演技力の永作博美。
永作「前回は私の役はなかったんですが、今回からの参加になります。ほんとに嬉しく思っております。G2さんが演出されていくんですけれども、それぞれがそれぞれの思いで動くタイミングとか、作っていってる感じがあって、気持ちいいなと思いながら稽古場に行きました。帰りの足並みが絶対みんな軽いと思います。 気分が軽くなって、うっすら顔が笑っちゃうような感じで帰れるような作品になっておりますので、楽しみにしていただきたいと思います」
何やら曰くあり気な男役に村杉蝉之介。(写真後方、階段上)配役表によりマチキンと明かされております。2021年にもキャスティングされていたのですが…
村杉蝉之介「今回は同じ役ですが、目的が違うので、前とは違う役です。諸事情で今回は僕は出れないかもしれない、役もないかもしれないという話があったのですが、また呼んで頂いてありがとうございます。稽古日数が皆さんより少なくて、今、とても不安です。(笑)でもこれを客席で見てたら悔し泣きをしてたと思います。」
前館長からムーンシネマを寄贈されている、市の「まちづくり振興課」の朝倉瑞帆役の清水くるみ。NHK連続テレビ小説「ブギブギ」で見せる姿にも通じる元気あふれる役柄だ。
清水くるみ「真面目なんですが、ちょっとやっちゃえ!みたいな部分もあって、チャキチャキしてる女の子です。コメディ作品はお客さんが入って初めて完成すると思っているので、 すごく楽しみにしています。個人的には藤原くんの、シリアスなシーンですが、すごく衣裳が似合う部分があって、稽古からすごく楽しい感じになったので、皆さんがどんな反応になるのか、すごく気になります」
映写技師のロクさん役はたかお鷹。
たかお鷹「僕も前回の出てました。ロクさんはずっとここ(ムーンシネマ)に住みついてる主みたいなもんです。30年前からじいさんだったっていうから、 もう自分でも何歳かわからなくなってますね」
並木憲次役と犬猿の仲の映画監督・榊哲哉役は今井朋彦。
今井「途中で、もしかすると並木の敵役のように見える瞬間もあるかもしれませんが、最終的にはG2さんが描くこのハートフルコメディーの物語の中に無事着地できるのではないかと思っております。意気込みは、一日中笑いの絶えない楽しい稽古だったので、その稽古場の雰囲気をそのまま舞台に乗っけられたら成功間違いなしと思っております」
公演は休憩なしの約2時間5分。11月28日(火) までPARCO劇場(渋谷PARCO 8F)にて。大阪公演は: 2023年12月 3日(日)~12月10日(日)森ノ宮ピロティホールにて。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『月とシネマ2023』
作・演出 : G2
出 演 : 中井貴一 藤原丈一郎(なにわ男子) 永作博美
東京公演 : 2023年11月6日(月)~11月28日(火) PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
大阪公演 : 2023年12月 3日(日)~12月10日(日)森ノ宮ピロティホール
企画・製作 : 株式会社パルコ
公式サイト : https://stage.parco.jp/program/mooncinema2023
ハッシュタグ : #月とシネマ2023