2024 年２月16 日（木）より2 月25 日（日）まで、あうるすぽっとにて、ロマンティックコメディ『さよなら、チャーリー』が上演される。
出演する山本一慶と井澤勇貴に、立ち稽古が始まった稽古場で話を聞いた。
山本一慶
井澤勇貴
本作は、ブロードウェイにて1959 年に初演、その後映画化もされた人気作。日本初演は1969年に越路吹雪がチャーリー役を演じて大ヒット、その後も宝塚歌劇団出身で男役トップスターだった方などが演じて上演を重ねている。
物語は、人妻との浮気現場をその亭主に見つかりピストルで撃ち殺されたチャーリーが、数々の女性と浮名を流してきた天罰で、この世に女として送り返されたことで始まる、おかしくも切ないファンタジックコメディ。
山本一慶が女性に転生してしまうチャーリー役、井澤勇貴がチャーリーの親友ジョージ役を演じる。
――只今稽古中ですが、台本を手にした時から印象の変化などをお聞かせください。
井澤：もうやればやるほど、沼に入っていくという、難しい作品だと改めて思いましたね。海外の作品の経験は何度かありますけど、今まで僕がやった作品は、いろんな見せ場があったり怒涛の展開が繰り広げられていく作品が多かったのですが、本作はほぼワンシチュエーションでずっとチャーリーと2人。ずっと日常会話を続けていく感覚なんです。更に海外の独特の言い回しや、言葉の選び方が読めば読むほどわからなくなる。“難しい”が今の率直な感想ですね。
山本：井澤さんが言ってくれたことは、僕も抱えていることですね。僕の役は今まで女性が演じていることが多くて、稽古が始まる前は男性がチャーリーを演じるのは、どうなるんだろうと色々考えましたが、いざやってみたら男性がやる意味ってこういうことなんじゃないかなと手ごたえを感じています。
今までの作品を僕は見てないのですけど、アプローチの仕方は全然違うはず。男性が演じること、女性が演じることの意味が明確に見えるんじゃないかな。
しかもこの2人でやる意味もあって、そういうところもお客さまに感じていただける作品になるんじゃないかなと思っていますね。
――井澤さんが演じるジョージは振り回されるしがない役ですが、このタイプの役は初めてとお聞きしました。
井澤：情けない役どころは何回かありますが、このジャンルは初めてなので、どう表現したらいいんだろうって。今でもまだ悩んでいるのが、例えば自分に置き換えた場合、恋人や妻を寝取られて、それでもなお面倒をみている。それ以上の何かがあったんでしょうね。それが果たして何なんだろう、こんなに振り回されて離婚にまで至っているのに何故友達でいられるんだと。ただのいい人過ぎて何故なんだろうって思っちゃう。100いいことをやったとしても、1の罪がでかすぎるから、覆しちゃうはずなのに、なんでなんだろうと。
山本：これは深いね。それが答えだね。今初めて僕も思った。確かにジョージ目線だとそうだね。これチャーリーの天罰みたいな感じだけど、違う捉え方できるね。ジョージへの神様の贈り物のような気もしてきた。
井澤：なるほどね。だから最後に繋がるという。深いね。
山本：だって奥さんとチャーリーを天秤にかけたら、ジョージはチャーリーを選ぶんでしょ。その愛ってなんなのってことだよね。だから女だったら僕が結婚するなって。さらにジョージが女だったら、こいつと一緒にいれたらと思ってたのかもしれない。さすがですね、考えてますね、井澤さん。それ聞いて素敵だなって思っちゃった。
チャーリーの難しいとこって、女性が綺麗にやれば女性になって、かつ見る側のフィルターも、もう女性なんだよなって知ってるから不自然さは見えない。だから僕の見た目が女性に近くなればなるほど、女性が演じるよりも面白いものになるんだなって思っています。
元々そういう脚本なので、脚本に忠実にやるなら男性が演じるという解釈もあります。でもそれが時代的にも不可能だった。現代になってメイク技術も上がったからということでの挑戦になったら面白いですね。
――演出の岡本さとるさんとのやり取りの中で新たな発見はありましたか？
井澤：例えば“女らしく振る舞え”っていうシーンがあるんですよ。チャーリーは足を開いてるんですけど自然に閉じてあげてとか、本当にありそうなコミュニケーションの見せ方はすごく上手だなって思いましたね。
山本：数々のドラマや舞台の経験から、古き良き姿勢とかを教えていただけるのはありがたいです。所作のベースを知っている方なのでとても勉強になります。
――振る舞いで思い出しましたが、井澤さんのビジュアル撮影の際、あとから山本さんがスタジオに入ってくるとハグをされていらっしゃいました。
山本：僕がハグするのは井澤さんだけです！井澤さんは女性だろうが男性だろうが構わずハグするんです。見た目がクールなので、初めましての人は近寄りがたいと思うかもしれないけど、どんどん壁を破って近づいてくるからびっくりする。カンパニーのみんなともすぐ打ち解けられたね。
井澤：僕は挨拶する時にハグするんですよ(笑)。コミュニケーションの一環ですけど、海外の作品にこの日常のスタイルは持っていきやすいのかなと思うんで、僕のパーソナルな部分をキャラクターにも生かしていけたらいいなとも思っています。
――では山本さんは井澤さんの、お互いの見どころを紹介してください。
井澤：もちろん一慶のドレス姿ですよね。ビジュアルのドレス姿はめっちゃ綺麗でしたよ！僕自身もすごく楽しみなところなんです。稽古はずっと変身していない男同士でやってるので。
山本：早く可愛くなりたい。
井澤：絶対可愛い。お客様からすると、某作品のふたりがラブな話をしてるのは楽しんでもらえるんじゃないかな。ドキッとするシーンもたくさんあります。そして本当にずっと喋っています。
山本：そうだよね。こんなに会話はしたことないからね。
井澤：一慶は演出もやってますし、動き回ったりとか空間把握能力はやっぱり長けているなって思います。チャーリーはアトラクションみたいな感じです。何を起こすのか、そこを楽しんでもらいたいですね。もしかしたら破天荒さが似てるかも。マイペースっていうか、自分の時間があって自分のルールがある。だから何かやっても僕は別にそれはチャーリーのやることだなって捉えられるんですよね。皆さんも楽しんで欲しいです。
山本：確かにそう、なるほどね。僕は井澤さんの好きなところがいっぱい出る作品だなって思っていますね。ここ数年で特に仲良くなってお互いの芝居も見て、井澤さんの『あ、ここ好き』っていうところが色々あるんですよ。
井澤：あははは！恥ずかしいな！
山本：自分の内に秘める時のモーメントの出し方がすごく好きで。（ちょっとマネする）自分の中で処理しようとして、でもうまく言葉にできずに葛藤している井澤さんの芝居がすごく魅力的で、かっけーって思うことが多かった。
井澤：これからすごい意識しちゃう(笑)
山本：あははは！それは井澤さんのお芝居スタイルだと思うんですけど、この本と向き合う時間が長くて自分で咀嚼する時間が多いからこそ、自分の芝居がより出てるのかなと思って。それが魅力であり素敵なところで僕は好きなので、それが堪能できてけっこう楽しんでますね。かっこいいジョージも見て欲しいです。
井澤：あとベッドに寝転がるシーンがあるんですけど、マジで愛くるしくて抱きしめたくなるんですよ！本当に！そのシーンも見どころになると思います！
――最後にメッセージをお願いします。
井澤：日本の初演では越路吹雪さんが、近年は宝塚出身の方で演じられていている作品ですが、今回僕たちを選んでいただいたその意味をしっかり残したい気持ちがあります。
次は男に生まれ変わりたい、女に生まれ変わるとか、みんな考えたことがある題材だと思うんです。それが起こってしまったらこういうことになるよ、ということがいっぱい描かれています。そして2人の関係性に他のキャストの皆さんが入ってくださることによって、どう物語が展開されていくのか、楽しんでいただきたいです。ご来場お待ちしております。
山本：65年前の作品と聞くと、どうしても固くなったり、難しい作品かと警戒する人も多いと思いますが、この作品はふらっと観に来てもあっという間に終わってしまうほど楽しめる作品だと思うので、気楽に遊びに来ていただきたいです。
非日常ではあるけど、日常に見えてしまうような素敵な魅力がある作品です。
楽しめて、ほっこりすることもできるし、ちょっと切なくもなるかもしれない。いろんな感情を楽しめる作品になっています。劇場でお会いしましょう。
ロマンティックコメディ『さよなら、チャーリー』
作：ジョージ・アクセルロッド
訳：小田島恒志
演出：岡本さとる
製作：アーティストジャパン
日程：2024年2月16日(金)～2月25日(日)
劇場：池袋・あうるすぽっと
出演：山本一慶、井澤勇貴／大湖せしる、神谷敷樹麗、枝元萌、柳内佑介／ルー大柴
料金：S席 8,500円 A席 7,500円(税込・全席指定)
チケット発売中
取り扱い：アーティストジャパン、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
お問い合わせ：アーティストジャパン 03-6820-3500 https://artistjapan.co.jp/
公式サイト：https://artistjapan.co.jp/performance/ajct_goodbye-charlie/
公式エックス：https://twitter.com/aj_gb
