Open Close

『セツアンの善人』に葵わかな,木村達成ら総勢17名のキャスト決定

世田谷パブリックシアターにて、10-11月に上演される、芸術監督・白井晃演出による『セツアンの善人』の葵わかな、木村達成ら総勢17名のキャストが決定した。ドイツ文学者の酒寄進一による新訳を、白井晃が演出、国広和毅が音楽監督を務める。歌あり、ライブ演奏ありの音楽劇となりそうだ。

『セツアンの善人』は、畏怖すべき神様たちが、人間臭い立ち居振る舞いで下界に現れ「善人探し」をするという奇想天外な設定からスタート。

1aaaa

貧民窟に暮らす心優しき娼婦のシェン・テ(葵わかな)は、神々から「善人である」と認められ、褒美として与えられた大金を元手に商売をはじめるが、「善人であること」と「生きること」の両立は矛盾することだらけで、さまざまな困難が立ちはだかる。元来がお人好しのシェン・テの家には居候が増え続け、しまいには自分の財産まで分け与えてしまう始末。このままではいけない、我が身が滅びるだけだと気付いたシェン・テはある計画を思いつく。それは、冷酷にビジネスに徹する架空の従兄(いとこ)シュイ・タ(葵わかな・二役)を作り出し、自らがその従兄に変装をして、邪魔者を一掃するというものだった。

2llll

シェン・テが恋に落ちる失職中のパイロット、ヤン・スンを木村達成。

名前入り組み写真(撮影:山崎伸康)s2

神様と交信する水売りのワンには渡部豪太。息子を溺愛するヤン・スンの母親のヤン夫人には七瀬なつみ、シェン・テが買い取ったタバコ屋の元オーナーである未亡人のシンをあめくみちこ、シェン・テのタバコ屋に居座る大家族の祖父を小林勝也、そして下界で善人探しをする人間臭い3人の神様を、ラサール石井・小宮孝泰・松澤一之が演じる。

『セツアンの善人』は、第二次世界大戦中、ナチスにより市民権を剥奪されたドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが亡命先で執筆し、1943年にスイスのチューリッヒで初演。神様が地上に降りてきて善人を探すという、ブレヒト作品を代表する寓意劇。
ブレヒトは、第一次世界大戦への徴兵経験から、反戦を訴える作品や、資本主義を風刺した作品など、社会性の強い戯曲を多く世に送り出している。同時に叙事的演劇や異化効果といったメソッドも提唱しており、そうしたブレヒトならではのエッセンスが『セツアンの善人』には、ふんだんにちりばめられ、舞台ならではの醍醐味が堪能できる作品。
ブレヒトから大きな影響を受けているという演出の白井晃は、これまで『三文オペラ』(2007年 演出、18年出演)、『マハゴニー市の興亡』(16年、演出・上演台本・訳詞)、『Mann ist Mann』(19年、企画監修)、『アルトゥロ・ウイの興隆』(20年、21~22年再演、演出)と、数々のブレヒト作品に取り組んできた。
今回はドイツ文学者の酒寄進一が新訳を手がけ、国広和毅が音楽監督を務め、パウル・デッサウの楽曲を基に、歌ありライブ演奏ありの臨場感のあふれる舞台を作り上げる。

▼演出家・白井晃 コメント
私にとって長年の念願であったブレヒトの名作『セツアンの善人』を、世田谷パブリックシアターで上演できることを大変嬉しく思っています。本作は、貧困と不正義に満ちた社会で善良であり続けることの難しさを描いた作品です。現代社会にも通じる人間の葛藤や社会の矛盾を描いたブレヒトのメッセージは、今の時代でも強い共鳴を呼び起こす力を持っていると思います。セツアンは架空の都市ではありますが、そこにあるのは、私たちを取り巻く今の世界の宿図に他なりません。「金は本当に人を幸せにするのか」という命題を浮き彫りにし、現代の問題として接続できるような作品にしたいと思います。葵わかなさん、木村達成さんの清新で豊かな感性と、集結してくださった魅力的な俳優の皆さんの力強い表現力によって、新たな『セツアンの善人』を示してくれると確信しています。私たちがこの作品を通して、現代社会の在り方や自分自身の生き方について考えるきっかけになればと願っています。

『セツアンの善人』
【作】ベルトルト・ブレヒト 【音楽】パウル・デッサウ 【翻訳】酒寄進一(新訳)
【上演台本・演出】白井晃 【音楽監督】国広和毅
【美術】松井るみ 【照明】齋藤茂男 【音響】井上正弘 【衣装】伊藤佐智子
【ヘアメイク】川端富生 【演出助手】豊田めぐみ 【舞台監督】田中直明
【宣伝美術】秋澤一彰 【宣伝写真】山崎伸康
【宣伝衣装】伊藤佐智子 【宣伝ヘアメイク】川端富生
【出演】
葵わかな 木村達成 渡部豪太 七瀬なつみ あめくみちこ/
栗田桃子 粟野史浩 枝元萌 斉藤悠 小柳友
大場みなみ 小日向春平 佐々木春香 /
小林勝也 松澤一之 小宮孝泰 ラサール石井

【演奏】
磯部舞子(バイオリン・東京公演) 加藤優美(バイオリン・兵庫公演)
島津由美(チェロ) 熊谷太輔(パーカッション)
【日程】2024年10-11月
【会場】世田谷パブリックシアター
【お問合せ】世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515(10:00~19:00)
【主催】公益財団法人せたがや文化財団 【企画制作】世田谷パブリックシアター
【後援】世田谷区
【世田谷パブリックシアターHP】https://setagaya-pt.jp/
【『セツアンの善人』公演ページ】https://setagaya-pt.jp/stage/16042/

兵庫公演:2024年11月 兵庫県立芸術文化センター