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藤山直美、市村萬次郎☆人情喜劇の傑作2本立て「七夕喜劇まつり」が開幕!

新橋演舞場にて7月5日(金)より「七夕喜劇まつり」が開幕する。藤山直美、市村萬次郎、中村亀鶴、澤村宗之助 ほか、喜劇・歌舞伎・新派などの舞台で活躍する個性豊かな俳優たちが出演し、昭和の喜劇王・藤山寛美が演じた上方喜劇の名作を届ける。初日に先立ち公開舞台稽古・囲み取材が行われた。
本公演は7月28日(日)まで新橋演舞場にて上演。

公演は、『唐木の看板』と『はなのお六』の2本立て。
『唐木の看板』は‥‥

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江戸から大阪へとまだ見ぬ許婚を訪ねる母・お浪(市村萬次郎)と娘・お雪(春本由香)。

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途中、嶋田の茶店で上方から来た男・清三郎(中村亀鶴・右)と出会い、些細なことから口喧嘩に。お浪と清三郎の喧嘩口調が、時代劇版のラップの応酬ともいうべき小気味よさ。知らない方言も、悪口だと察せられるところが、また面白い。ついつい吹き出してしまったり、クスクス笑いをこらえきれない。

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そのまま喧嘩別れした2組の旅人。お浪とお雪が大阪に着いて、許婚の家を訪ねると、なんと相手は江戸へと旅立った後だった。

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父を亡くした清三郎は、商売をたたんで、父がかつて奉公していた江戸へ、許嫁を訪ねてやって来た。だが許嫁は大阪へ旅立った後だった!

お浪が許婚の特徴を近所の人に尋ねると「看板を背負っている」とのこと。母娘は、途中ですれ違った男が会いたかった男だと気が付いた!

さてさて、二組の旅人は再び会うことができるのか?!

二幕に上演の『はなのお六』は、1990年の初演以来、藤山直美の当たり役として上演を重ねてきた傑作。
『はなの六兵衛』を元に、藤山寛美の当り役だった主人公の六兵衛役の性別を変え、藤山直美が15~16歳の娘役を演じる。

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貧しい家族のため、立身出世を夢見て大和からやっとの思いで江戸へたどり着いたお六(藤山直美)。

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華やかににぎわう桜咲く江戸。だが江戸の人たちは、江戸は危険だから帰るようにとお六を促す。

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そこで出会ったのが、口入屋の大親分・久利伽羅竜五郎(中村亀鶴)。

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竜五郎を悪い奴だと思ったお六。竜五郎との渡り合いが、藤山直美の真骨頂を発揮しての楽しい見せ場だ。

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やがて竜五郎が人情篤いことを知ったお六。竜五郎の家で世話になり、竜五郎が厄介ごとに巻き込まれていることを知る。IMG_4883

お六も厄介ごとに巻き込まれて…?!

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笑いと人情・楽しさのみならず、新橋演舞場ならではの華やかさもある2本立ての約3時間(一幕50分 休憩40分 二幕80分)だ。

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【囲み取材】公開稽古を終えた直後に藤山直美と市村萬次郎が登壇した。

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藤山直美:トライアスロンみたいなお芝居で、息切れして大変です。50歳サバ読んでますので、どうぞよろしくお願いします。
(主人公を女性にしたことで『はなのお六』は)お伽話になりました。女が江戸城にあがることもなく、15~6歳の子が一人で大和から無事にお江戸に来ることも難しかった時代でしょうから、お伽話と思って観ていただければ嬉しいです。
この子はお母さんと妹と弟に美味しいものを食べさせてやりたいピュアで純粋なメンタルを持っている。自分は大江戸で立身出世を望むんだけれども、自分の生活向上とか、いいものを着たいとか、いいものを持ちたいとか、名誉とか、そん気持ちはないんです。家に白いご飯持って帰ってあげたいとだけ思っている子なので、そういう純粋な子は、演じるのが難しいですね。
上方喜劇は歌舞伎から流れています。歌舞伎は大好きですし、新派と歌舞伎はうちの本家ですから、そこは大事にさせて頂いています。これは死ぬまで変わることはありません。

市村萬次郎:今回は喜劇で初めて女型に挑戦させていただきます。歌舞伎はずっとやっておりますが、この『唐木の看板』のようなものは初めて。
自分の娘を言い名付けのところへ届けるまでは、男に近づけたくない(という母親役)。そこでいろんなお笑いができるわけですけれども、親として、母親として、娘をいかに大事に思ってるか。その親子の情が自然と流れたら嬉しいと思っています。
皆さんにどう喜んでいただけるか、ちょっと心配な面もありますが、やる方としては非常に楽しみに頑張っていきたいと思いますので、期待して観ていただければと思っております。
『はなのお六』の見どころは、直美さんが出てくれば、90パーセント以上は終わってます。(笑) 若い娘役ということで、可愛くパッと変わるところですね。そのあたりは完璧だと思います。私は歌舞伎の役者ですから、歌舞伎の雰囲気の土台を作れれば、その中で(藤山が)もし遊んでいただけたら、それが1番嬉しいですね。

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今回で3回目の共演となり、気心も知れていると言うふたり。藤山は市村の家で「ご飯を食べ尽くしているので、あまり悪口は言えない!」と笑い、「私は歌舞伎が好きだったけれど、小さいときに歌舞伎役者にはなれないと言われて、歌舞伎はできないと思っていたけれど、こうして一緒に出させてもらえって、本望です。嬉しいです」と、改めて思いを噛みしめているようだった。

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『七夕喜劇まつり』
2024年7月5日(金)~28日(日)新橋演舞場
キャスト 藤山直美 市村萬次郎
中村亀鶴 澤村宗之助 大津嶺子 春本由香 いま寛大 ほか
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202407_enbujo/