2016年の初演以降、韓国創作ミュージカルを代表する人気作となった、ミュージカル『ファンレター』が、海宝直人、木下晴香、浦井健治 木内健人 他の出演で、9月9日(月)よりシアタークリエにて日本初演の幕を開ける。演出は栗山民也。8日(日)にゲネプロが公開された。
『ファンレター』という題名から、甘く軽やかな物語を連想してはいけない。
本作は1930 年代、文学活動への統制が強まる日本統治下の京城(現在のソウル)で、文学に生きることを選んだ者たちの物語。
サスペンスとも言えるゾクゾク感に満ちたストーリと、登場人物たちの文学への命がけの思いが、幕開けから終演まで張りつめた1本の糸のように全編を貫き、観客は息をひそめて舞台を見つめ続けることになる。詩のようなセリフと、美しいメロディを話すように自在に歌う俳優陣が、観客を物語に没入させ、拍手することすら忘れさせてしまう。
【あらすじ】事業家セフン(海宝直人)は、亡くなった小説家ヘジン(浦井健治)が恋人の「ヒカル」と共作した小説が出版されることを耳にする。しかも、謎に包まれたヒカルの正体まで明らかになるという。セフンは、出版に関わるイ・ユン(木内健人)を獄中に訪ね、出版を辞めるよう頼むが、イ・ユンは「ヘジンがヒカルに宛てた最後の手紙を持っている」と言う。なんとしても手紙を読みたいセフン。だがイ・ユンはセフンが知るヒカルの謎を明かすよう迫ってくる。セフンは隠してきた秘密を語り始める。
時間は遡り…
小説家を志す東京留学中の孤独な青年・セフン(海宝直人)が「ヒカル」のペンネームで、敬愛する小説家・へジン(浦井健治)へ、ファンレターを送った。
そのファンレターはヘジンの心を動かす。
やがてセフンは些細なことから東京の留学先を放校になり京城へ戻り、文学会「七人会」に参加したヘジンと出会う。
だがヒカルを女性だと思っているヘジンに、自分がヒカルだと明かすことができなかった。
セフンはヒカルとして、ヘジンとの文通を続ける。ヒカルはどんどん生きた人物(木下晴香)になっていく。
栗山演出は、シンプルな舞台に別世界を実在させてしまう。
一幕75分、休憩20分、二幕65分、まったく長さを感じさせない2時間40分の演劇だ。
○東京公演 2024 年9月9日(月)~30日(月) シアタークリエ
○兵庫公演 2024 年10月4日(金)~6日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【出演者】
チョン・セフン 海宝直人
ヒカル 木下晴香
イ・ユン 木内健人
イ・テジュン 斎藤准一郎
キム・スナム 常川藍里
キム・ファンテ 畑中竜也
キム・ヘジン 浦井健治