東京芸術祭 2024 芸劇オータムセレクションのプログラムの『三人吉三廓初買』が、9/15(日)より東京芸術劇場 プレイハウスにて絶賛上演中だ。東京公演は当日券、幕見席の販売も有り。長野、三重、兵庫公演も有り。
本作は、2014年2015年に大好評を博した『三人吉三』を、『三人吉三廓初買』とタイトルを改め、木ノ下歌舞伎×杉原邦生のタッグの集大成として上演するもの。新たなキャストを迎え、劇場も東京芸術劇場 プレイハウスという大劇場に。さらに「地獄の場」を初演以来160年ぶりに完全復活させて、休憩2回を挟む3幕、上演時間約5時間20分の一大エンターテイメントとして上演している。(舞台写真は 東京芸術祭 2024 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』(第一幕より) 撮影:細野晋司)
お嬢吉三(坂口涼太郎)和尚吉三(田中俊介)お坊吉三(須賀健太)
9月16日公演を観劇した。
上演時間が5時間超えと聞いて、一抹の不安があったのだが、そんな心配は無用だった。
木ノ下歌舞伎×杉原邦生のタッグの江戸の風情・風俗への表現に目を見張り、ツボを得た笑いに吹き出す。今も昔も変わらず人の心を占める“恋と金”に、めぐる因果が重なる人間味あふれる物語に「今なら?」を考えさせられながら、トントンと調子よく進む物語…いや、時に怒涛のように突き進む話に引き込まれる。アクション有り、笑いあり。群像劇の楽しさを満喫し、あっという間に観終わった5時間あまりだった。
『三人吉三』は、歌舞伎として繰り返し上演されているのはもちろん、現代劇でも様々なアレンジを加えて、ときにはまったく別の題名となったりして上演され続けている、河竹黙阿弥による傑作。今回は群像劇として、一人ひとりが丁寧に描かれるので、初めてご覧になる方は、観劇前に登場人物の親子・兄弟関係だけでも頭に入れておくと分かりやすいでしょう。人物相関図は公式HPに。
題名となっているのは、同じ「吉三郎」の名をもつ三人の若き泥棒たちのこと。
兄貴分の和尚吉三(田中俊介)、血気盛んなお坊吉三(須賀健太)と女装の盗賊・お嬢吉三(坂口涼太郎)の三人。
そこに、和尚吉三の父親・伝吉(川平慈英)、妹・おとせ(深沢萌華)が加わって、本作の軸となる“100両という金をめぐる物語”が描かれる。
花魁一重(藤野涼子) 一重に恋する商人・文里(眞島秀和)
“三人の若き泥棒たち”のメインストーリーに絡む物語が、現行歌舞伎ではカットされている“商人と花魁の廓の恋”。
お坊吉三の妹・花魁一重(藤野涼子)と、一重に恋する商人・文里(眞島秀和)に、“文里の女房・おしづ(緒川たまき)も登場、一人ひとりの感情を細やかに描き出す。
●木ノ下歌舞伎主宰/監修・補綴 木ノ下裕一 初日開幕コメント
18年前に木ノ下歌舞伎を旗揚げしました。「現代の演出家や俳優と一緒に日本の古典について考えるプラットフォームを作りたい」と(旗揚げ当時はそこまで明確に言語化できてはいなかったとはいえ)そう願ってのことでしたが、この度、素晴らしい俳優、デザイナー、スタッフに恵まれて、全力で作った5時間超えの『三人吉三廓初買』は、その願いが大きく実を結んだ作品だと実感しております。
18年間一貫して持ち続けた「歌舞伎の面白さ、現代演劇の楽しさを多くの人とシェアしたい」という想いは、作品のみならず、全20頁の無料パンフレットや、視聴覚障害のある方を対象にした鑑賞サポート、そして杉原さんの舞台芸術の未来を見据えた眼差しによって実現したスウィング公演、幕間の軽食販売に至るまで、この公演のすみずみにまで込められています。
一緒に最も多くの作品を作り、最も多くの時間を過ごしてきた、私にとっては唯一無二の演出家・杉原邦生さんをはじめ、演劇をこよなく愛する俳優陣、多彩なスタッフ陣と劇場でお待ちしております。
●演出 杉原邦生 [KUNIO] 初日開幕コメント
今作の見どころは、エネルギッシュで魅力溢れまくりの素晴らしいキャスト陣だけではありません。強力なスタッフ陣にもぜひご注目ください!
作品に寄り添いポップかつドラマティックな音で観る者の感情を大きく揺さぶる☆Taku Takahashi(m-flo)さんの音楽、ファッション性とドラマ性とを行き来しながら驚きの発想で世界を提示してくれるAntos Rafal(ANTOS.)さんによる衣裳、古典歌舞伎のロジックを要所に垣間見せながら現在進行形の空間を出現させる金井勇一郎さんの美術、歌舞伎の真似事ではない木ノ下歌舞伎の目指すカタチを同じ目線で探求してくださる歌舞伎俳優・中村橋吾さんによる立廻り。その他、これまで何度も創作を共にし、絶大な信頼を寄せる皆さんの演劇愛に満ちたスタッフワークも存分に楽しんでいただけるはずです。
2006年に旗揚げし、2017年までメンバーとして共に歩み、いまや唯一無二の演劇団体となった“木ノ下歌舞伎”。『三人吉三廓初買』は、そんな木ノ下歌舞伎が辿り着いたひとつの〈到達点〉と言える作品になっていると思います。実は、稽古の時からひっそりと、僕はそう感じていました。
この作品をお客さまにお届けできることがとても嬉しく、とても楽しみです。
座組一同、劇場にて皆さまのご来場をお待ちしております!
●和尚吉三役 田中俊介 初日開幕コメント
自由な発想、時には奇想天外な芝居が飛び交う稽古場。そこには常に挑戦する勇気がありました。臆することなく立ち向かう心強いカンパニーの皆さんとの出会いは僕にとって特別なものになりました。江戸と東京が混在する新鮮な刺激をどうぞご堪能ください。木ノ下歌舞伎に出会えてよかった。そう皆様にも思ってもらえるはずです。さあ、義を結ぼうか!
●お坊吉三役 須賀健太 初日開幕コメント
木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』 ついに開幕致します! キノカブ名物完コピ稽古から始まり、座組全員でこの作品を作り上げてきました。 5時間20分という上演時間ですが、5時間20分あるからこその没入感と刺激をぜひ体感してください。 「古典だから」と躊躇されているそこのあなた…
これはもう”現代劇”です。 (言い過ぎ?笑)
●お嬢吉三役 坂口涼太郎 初日開幕コメント
人と人がバトンをつないでいけば5時間だって何時間だって、
160年前の江戸時代からだって、物語を受け継ぎ、語っていけるのだというものすごさを身体ごと感受していただけると思います。
この物語をこの仲間たちとここで紡ぐ機会は今しかありません。
どうか可能であれば、同じ今を私たちと一緒に過ごしていただければ幸いです。
●丁⼦屋花魁 ⼀重役 藤野涼子 初日開幕コメント
完コピ稽古を経て、約1ヶ月間一重と向き合ってきた日々はあっという間に過ぎ去ってしまいました。
暗中模索の日々ではありましたが、カンパニーの皆さまと共に初日を迎えられた事を嬉しく思います。
劇場でお客様とどんな対話ができるのか楽しみです!
“歌舞伎”と“現代”、 “廓の世界”と“三人吉三の世界”それぞれどう絡み合っていくのかが見どころとなっております。
人生初のおばあさん・鬼役にも挑戦しておりますので是非、ご観劇ください!
●⼟左衛⾨伝吉役 川平慈英 初日開幕コメント
来ましたぁ!初日!歌舞伎の所作や発声などを学ぶ完コピ稽古から始まり、本稽古を入れて2ヶ月弱に及ぶ稽古を終え、いよいよ本番!自分としても初チャレンジとなる木ノ下歌舞伎の世界で、川平慈英の“伝吉”がどうお客様の眼に映るのか楽しみです!少しでもお客様の琴線に触れられたら、こんな嬉しいことはありません。帰り道、「あっという間の5時間だったね!」と言っていただけたら最高です!
●文⾥女房 おしづ役 緒川たまき 初日開幕コメント
この物語の中で右往左往している盗賊も、遊女も、商人も、私たちと同じように泣いたり笑ったりしながら悩み多い人生を生きています。稽古しながら、それらの登場人物の誰に対しても愛着を覚えました。そして、彼らは次の一手を考える時に私たちよりもずっとずっと大胆に突き進み、自らの人生を歌舞くので、この様(さま)にドキドキして、私の心は鷲掴みにされてしまいました。御来場くださる皆様にも是非そのドキドキを体感していただけますよう願っております。
●⽊屋文里[文蔵]役 眞島秀和 初日開幕コメント
いつも通りあっという間の稽古期間を経て、初日を迎える事になりました。
私が演じる文里が、これからどのように変化していくのか楽しみです。
そして、来場される皆様に心地良いエンターテインメントを届けられるよう努めてまいります。
東京芸術祭 2024 芸劇オータムセレクション
東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』
作:河竹黙阿弥
監修・補綴:木ノ下裕一
演出:杉原邦生[KUNIO]
出演:
田中俊介 須賀健太 坂口涼太郎 / 藤野涼子 小日向星一 深沢萌華
武谷公雄 高山のえみ 山口航太 武居 卓 田中佑弥 緑川史絵
川平慈英 / 緒川たまき 眞島秀和
スウィング:佐藤俊彦 藤松祥子
東京公演:2024年9月15日 (日) ~09月29日 (日) 18、19、24、25日休演
東京芸術劇場 プレイハウス 13:00開演
*上演時間:約5時間20分(途中2回休憩あり)
*東京全公演当日券あり *幕見席販売販売中
東京公演 HP:https://www.geigeki.jp/performance/theater364/
全国ツアー:
長野公演:2024年10月5日(土)・6日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
三重公演:2024年10月13日(日)三重県文化会館 中ホール
兵庫公演:2024年10月19日(土)・20日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール