2024年10月5日(土)に東京・THEATER MILANO-Za にて、Bunkamura Production 2024『台風 23 号』が開幕した。公演に先立ち、取材会とゲネプロ&が行われた。
森田剛と間宮祥太朗が初共演にしてW主演をつとめ、木村多江、藤井隆、伊原六花、駒木根隆介、秋山菜津子、佐藤B作という豪華キャストで上演する。
東京公演は20月27日(日)まで、その後には、11月1日(金)~11月4日(月・休)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、11月8日(金)・9日(土)まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演される。
市井の人々の姿と心を、赤堀独自の視点で描き出してきた赤堀雅秋。これまで5つの新作をBunkamura に書き下ろし・演出・出演してきた。今回は当初告知されてきた設定とは変更があったが、だからこそ描くことができた景色と心情を捉えた“今”を感じさせる書き下ろし作となった。今回は赤堀も出演。全出演俳優陣が芸達者で個性的で、生々しい人物、生き様を感じさせてくれた。
【初日前取材会】
駒木根隆介 藤井隆 秋山菜津子 伊原六花
赤堀雅秋 間宮祥太朗 森田剛 木村多江 佐藤B作
赤堀:結構長く演劇に携わっていますが、こんな穏やかな心境で迎える初日は初めてで、逆に不安になってます。でもそれも優秀なスタッフとキャストの皆さんの尽力のおかげだと感謝しております。当初、森田さん演じる役はかまぼこ工場に働くしょうもない男、そういうしょうもない男の別れた女房の弟が間宮さんという義理の兄弟という設定で一時期発表していましたが、執筆が難航し、森田さん演じる役を配達員と変えたところで物語が転がっていったので(キャスト笑)、設定が変わってしまったのですが、そこはご了承いただければと思います。
市政の人たち、生活者と同じ目線で、そういう物語を紡ぎたいなと。商業演劇で、そういう視点で、愚直に描いてるのが僕しかいないっていうとちょっと語弊がありますけど、自分自身はそういうものをちゃんと書き続けるという意志でやってまして、今回も特にそういう強い思いで書きました。
配達員役の森田剛:稽古で皆さんと積み上げてきたという気持ちが強いので、それを、荷物を一生懸命運びたいと思います。
僕が演じる配達員は、とにかく指定された場所に時間通りに荷物を運ぶ。それは生きるためというまっすぐな男だと思ってます。
見どころはとにかくいっぱいあります。皆さんそれぞれ見せ場があって、すごくいいシーンがたくさんあります。そこはぜひ見ていただきたいなと思っています。
僕はなかなか役をつかめずに、このままじゃ俺、泣くんじゃないかなという時に、B作さんもそんな顔をしていて、B作さんに救われました。(笑)
この街の人々たちの一生懸命生きている姿を観て、元気を出してもらって生きようと思ってもらえたらいいなと思います。
介護ヘルパーの田宮浩一役を演じる間宮祥太朗:稽古の時から自分の出ていないシーンをずっと見ていて、すごく好きな作品だと思っていたので、客席からもう見ることはないと思うと少し寂しい気もしますが、それだけ好きだと思える作品に出演できている幸せをかみしめながら大切に演じていきたいと思います。演じる役は、ヘルパーとして仕事していて、自分では頑張っているし、人当たりもいいし、正当な評価をしてもらいたいという思いが強くあって、それが会話の中で見え隠れします。配達員がカブトムシの話をするシーンがありますが、そこがすごく好きです。
演じる自分もそうですけど、毎日やっていて違う感情になったので、これから観てくださるお客さん1人1人の人生とか日常生活によって、同じシーン、同じセリフのやり取りを見ても大笑いする人がいたり、涙がこぼれる人がいたりするような、そんな作品だと思うので、このお客さん1人1人の中で、この作品が大切なものになれば嬉しいなと思います。
木村多江:演じる智子はちょっと危うくて不安定で、危ない人のように見えることもあると思いますけれど、普通に皆さん身の回りにいらっしゃるような方だと思っています。一生懸命頑張ろうとして、うまくコントロールできなくて、いろんなことに真面目に取り組もうとしているからこそ、そこに苦しんでもがいている人だと思ってます。
伊原六花:稽古場から稽古にお金を払いたくなるくらい、本当に素晴らしい、皆さんとの学びの多い稽古の時間で、 とっても毎日が楽しかったです。今日から初日ということですが、 まず目の前のことを一生懸命に1日1日大切に応援できたらと思っております。
等身大で、私と似ているなと思う部分がたくさんあります。普段は東京に住んでいて、母親のことをきっかけに今地元に戻ってきているっていう状態で、この年代だからこその、学生から社会人になってちょっと経った今みたいな、大人と子供の間のような感じがして、大人っぽくいたくて、でも周りはまだ子供として扱われて、いろんな悩みがぐるぐるしている役だなと思っています。
藤井隆:物語はとっても難しくてどうしていいかわからないときがたくさんあったのですけれども、図々しいんですが、早く本番になればいいのにと思う日もありました。一生懸命頑張って、 いい物語にできるように僕も頑張ろうと思っておりますので、大阪をもちろん、そして豊橋の最後までちゃんとできるように体調に気を付けて頑張りたいと思ってますのでよろしくお願いいたします。
駒木根隆介:(見どころは)警官を演じています。今は警官の格好ですが、物語進むとまた違った側面が描かれたりするので、 そこチェックしていただければと思います。
秋山奈津子:今回の芝居はワンシチュエーションで難しいところもあり、でもその中でしっかり生きていきたいと思います。
佐藤B作:初日はどうしても緊張するので、楽しんでやろうと思っても結局楽しめないで終わっちゃうかもしれないですけども。役が認知症の役なんで、何があってもオッケーかなと。 自分に甘い佐藤B作です。
互いの印象について、森田が間宮について「すごく楽しみにしていたんですけど、 稽古を重ねてみて、稽古に取り組む姿勢や、すぐできちゃう感じとか、『この野郎!』と思っていました。一緒に芝居をしていて、優しくて、センスがあって、楽しいです」と言うと、間宮は「ほとんどのことは嬉しかったんですけど、すぐできちゃってるだけやめてもらえますか。自分も悩んでいました」と前置きして、「剛さんはいろんな方から本当に喋らないと聞いていたのですが、最初に赤堀さんと食事会で話したときに、全然そんなことないよと言って、ホントにいろいろ喋ってくださいました。最初の座っているだけのシーンから、一気に奥ゆきを感じさせるような森田剛という方が役者として底知れない魅力があると再認識しました。毎日同じシーンをやっても一度も同じことが起こらない。そこで交わすいろんな模様が変わってくるようなところが一緒にやっていて楽しいです。趣味でもお世話になっています」とべた褒めだった。
【ゲネプロ】公開されたのは冒頭のみ。
配達員役の森田剛。暑い夏の配達の苦労が伝わってくる表情だ。
登場人物は、彼が配達を担当する町に暮らす人々
役所に勤める秀樹(藤井隆)、その妻の井上智子(きむらたえ)、智子の父・古川勝(佐藤B作)。
生真面目に勝の世話をする介護ヘルパーの田辺浩一(間宮祥太朗)
秀樹も通うスナックのママ菊池雅美(秋山奈津子)と、東京から一時帰省している娘の宏美(伊原六花)
警官(駒木根隆介)は、雅美に事件の進捗を尋ねられて困った表情に。
どの登場人物もどこにでもいそうな人たちばかり。この町で何が起こるのか?!濃密な2時間5分、休憩なしです。
Bunkamura Production 2024
『台風23号』
東京公演:2024年10月5日(土)〜10月27日(日)THEATER MILANO-Za
大阪公演:2024年11月1日(金)~11月4日(月・休) 森ノ宮ピロティホール
愛知公演:2024年11月8日(金)・11月9日(土) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
作・演出 赤堀雅秋
出演 森田剛 間宮祥太朗 木村多江 藤井隆 伊原六花 駒木根隆介 赤堀雅秋 秋山菜津子 佐藤B作
企画・製作 Bunkamura