2025年2月5日(水)より三越劇場にて Classic Movie Reading Vol.4「東京物語」が開幕する。4日にゲネプロ取材会が行われた。
「Classic Movie Reading」は、世界で語り継がれているような名作映画を、映像や創作的な演出で朗読劇として上演するシリーズ。今回の『東京物語』は、シリーズ初めての邦画として小津安二郎監督の傑作『東京物語』を取り上げる。
愛月ひかるを主演に迎え、中尾隆聖、白石珠江(劇団民藝)、斉藤レイ、平田裕香、広瀬登紀江、馬場良馬、内海光司という実力ある俳優が、70年前以上の名作映画をその時代を感じさせる空気感の中、今も変わらぬ感動をもって蘇らせる。
時代は、戦後すぐの復興期──。
尾道のしずかな海辺に暮らす老夫婦・周吉(右 中尾)と とみ(左 白石珠江)は、東京に住む子供たちの顔を見るため、二十年ぶりに上京する。ふたりのやわらかな方言にほっこりさせられて物語が始まる。
大阪で働く三男・敬三(左 馬場)は、記者で大阪を通過する両親を駅で迎え手土産を持たせる気遣いを見せる。東京で美容院を営む長女・志げ(右 斉藤)も
東京の下町で開業医となった長男・幸一(内海)、妻の文子(平田)、ふたりの息子・実(広瀬)も、はじめは両親の突然の来訪を歓迎するが、多忙もあり、十分にかまってやれない。
そんな中、戦死した次男の妻・紀子(愛月)はわざわざ仕事を休んでまで二人を東京観光に連れ出し、精一杯もてなすのだった。
あるひと家族の、一人ひとりの個性がくっきりと浮かび上がってくる。そこにその人がいる感覚を、声だけで体感させてくれる。
やがて数日が経ち、東京を満喫して次女・京子の待つ尾道へ帰っていく周吉ととみ。血のつながらない紀子への感謝、思うようにはならない子供たちへの複雑な情、そして自らの人生を振り返っての思いを、帰りの汽車の中でしみじみと語るふたり。語りだけとは思えない空間が広がる。名優揃いの朗読劇に、喝采したい。
【取材会】
馬場良馬 斉藤レイ 中尾隆聖 愛月ひかる 内海光司 平田裕香、広瀬登紀江
愛月ひかるは「お稽古期間はたくさんではないので、緊張感の中、ゲネプロを終えました」と挨拶。さらに「今、みなさんとお話ししていたら、意外と私が最年少だったということ気づいて。男役歴は長いですけれども、舞台で女性役やるのは本当にまだまだ初心者ですし、日本人の女性役をやるのは本当に初めてですので、そういう意味ではもう1年生みたいな感じで、みなさまに色々教えていただきながら、更に役と向き合って、千秋楽までもっと深めていけたらいいなと思っております」と語った。
内海光司は開口一番「長男の幸一役をやらせていただきます、初舞台の内海光司でございます。気持ちはです」と笑いを起こし「初日の顔合わせをして『初めまして、よろしくお願いします』と言った数分後に、いきなり通し稽古をやるという勢いのあるお稽古場だったので、この勢いを大事にしながら、千秋楽まで突っ走ろうじゃないかと思ってます。よろしくお願いします」と挨拶。
馬場良馬はひとりだけ大阪で働く三男・敬三役。「僕1人だけ関西弁を使うんですけれども、初日の通し稽古をやって、みんなもう本番を迎えられるねみたいな感じで褒められている中、僕は慌てて演出助手の岡田さんに関西弁のイントネーション講座のファイルを送っていただいて、なんとか無事に…無事なのかな…少しずつではございますが、今ここの舞台に立ててるんだなと思うとすごく嬉しく思います」と苦労を明かした。
見どころやお薦めポイントを訪ねられた中尾は「家族の絆の話ですので、見終わった後にふと大事な人に電話してみようかなとかと思ってもらえたら嬉しいかなと思っております。 ちなみに、(映画で)私の役を演じられたのは、有名な笠智衆さんですが、私は若い頃に笠智衆さんと一緒に仕事をしたことありまして。(笠智衆さんの)孫の役だったんですけど。ふと思い出しました。こんな大先輩の役をやらせていただいて光栄だなと思っております」と素敵なエピソードも教えてくれた。
本公演は9日(日)まで、1日2公演。是非とも、朗読劇の楽しさを堪能しにいらしてください。
Classic Movie Reading Vol.4「東京物語」
2025年2月5日(水)~9日(日) 三越劇場
演出:野坂実
脚本:鈴木智晴
出演:
愛月ひかる
中尾隆聖
白石珠江(劇団民藝)
斉藤レイ
平田裕香
広瀬登紀江
馬場良馬
内海光司
公演公式サイト:https://tokyostory-reading.com