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音楽劇 『愛と正義』開幕!観客の心に跡がくっきりと残る。稀有な公演です

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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇 『愛と正義』 が、2月21日(金)に開幕した。舞台写真と作の山本卓卓、演出の益山貴司のコメントが届いた。初日観劇の感想と合わせてレポートする。撮影: 宮川舞子

本作は第66回岸田國士戯曲賞を受賞し、注目を集める劇作家・山本卓卓による書き下ろし新作を、元・劇団子供鉅人で作・演出・代表を務めた益山貴司が演出する音楽劇。出演は、一色洋平 山口乃々華 福原冠 入手杏奈 坂口涼太郎という演技はもちろん、優れた才能と技を持つ俳優陣と、変幻自在なダンサーの大江麻美子(BATIK) 岡田玲奈(BATIK)。

本作は、KAAT 中スタジオの床面を舞台に、その周囲三方向を客席が囲み、観客が手を伸ばせば出演者に届きそうな眼前で上演される。観客は等身大の生身の人間の息遣いまで感じることができそうな空間で照明・音楽・ダンスに歌を駆使される。アングラ演劇ようなの濃密な熱気を感じながら、時にアクション映画を見るようなワクワクとハラハラを感じ、時にグランドミュージカルの突き抜けるような歌声の響きに揺られて、めりこむように物語に没入していく。
圧巻の約2時間30分(10分休憩含む)となる。公演は2025/3/2(日)まで。

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主人公はの風を操つるヒーローのコチ(一色洋平 右)。突然、未来が見えてしまうことがる妻のソチ(山口乃々華)と愛し合って暮らしている。

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だが、コチは仕事の地を操る相棒カレ(福原冠)と任務に忙しい。

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そんある日、ソチが誘拐されてしまう。犯人はコチのいとこのウチ(坂口涼太郎 左)なのか?!

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カレのパートナー、カノ(入手杏奈 右)をも巻き込んで、最悪の展開へと突き進んでいく。

一色洋平ならではのアクション活劇もあり、甘いロマンスにファンタージー、さらにSF要素も感じさせたかと思えば、物語は観客の心と頭脳に判断を迫るスリリングな展開に。観客は息つくヒマなく引きずり込まれる。

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公演は1日1公演、9公演のみ。初日を見終わって「この公演を1日2公演行うことは、(事実はそうでないかもしれませんが)出演者やスタッフにとって過酷すぎるからだろう」と感じた。出演者はそれほどの熱量を燃やして、観客の心に物語をぶちこんできます。そして、観客の心にその跡がくっきりと残る。そして、きっとずっと忘れない。そんな稀有な公演です。お見逃しなく。

★山本卓卓 [作] コメント
たぶん子供の頃から、ずっと憧れて、あたためて、育ててきた作品だったんだなと、ゲネプロを観て思いました。
無意識や有意識、人間に感じ取れるあらゆる要素が7人のパフォーマーと、力強くも繊細な演出、振付、音楽、
堅実で色彩豊かなスタッフワークによって、いよいよみなさまの目に触れます。どうかこの宝箱を持って帰ってく
ださい。何年後かにこの思い出があなたを構成していることに、期待と願いを込めて。風よ吹け!

益山貴司 [演出] コメント
初日の舞台が、観客の皆様の拍手とともに終わったあと、しばらく私は席を立てなかった。途中まで、演出家の
最後の仕事として、感想のメモをとっていたのだが、それもやめてしまった。ただただ目の前で繰り広げられる、壮
大な愛と正義の物語にのめり込んだ。今、私は気の利いたコメントが書けずに悩んでいる。ただただ、多くの人々
に、この物語を、この舞台を体感して欲しい。そんな願いだけが私の心に沸き立っている。そして、なによりも、あ
の時の私、高校2年の春、初めて演劇を始めた頃の私に見て欲しい。演劇は、こんなに豊かで楽しいものなんだ
よ、と言う言葉とともに。

《 公演概要 》
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇 『愛と正義』
作:山本卓卓 演出:益山貴司 音楽:イガキアキコ 振付:黒田育世
出演: 一色洋平 山口乃々華 福原冠 入手杏奈 坂口涼太郎
大江麻美子(BATIK) 岡田玲奈(BATIK)

会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
日程:2025/2/21(金)~2025/3/2(日)
主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場