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ミュージカル『ボニー&クライド』矢崎広 インタビュー「僕の血も涙も全部詰まっているシアタークリエで主演をやらせていただける。これまでのいろんな苦労が『ボニー&クライド』で花開けば」

 

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ミュージカル『ボニー&クライド』が、2025年3月10日(月)~4月17日(木)のシアタークリエでの公演を皮切りに新演出版で上演される。(大阪・福岡・愛知公演あり)
本作は、映画『Bonnie and Clyde』/邦題「俺たちに明日はない」で、日本でも一躍有名となったギャングスターカップルのクライド・バロウとボニー・パーカーを題材に、名だたるミュージカルを手掛けた作曲家、フランク・ワイルドホーンが音楽を手掛け、2011年12月にブロードウェイで、2012年には日本でも上演されたミュージカルだ。その後ブラッシュアップされ、22年ロンドン・ウェストエンドで再演、23年には日本で宝塚歌劇団雪組にて上演され話題となった。今回、第48回菊田一夫演劇賞など多数の受賞歴を持つ瀬戸山美咲の上演台本・演出により、『ボニー&クライド』新演出版が誕生する。

クライド役を柿澤勇人と共にダブルキャストでつとめる主演の矢崎広が、本作への意気込みを語ってくれた。

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―上演台本・演出を担当される瀬戸山さんは、製作発表で矢崎さんの印象を「楽しい俳優さん」とおっしゃっていましたが、今回はエネルギッシュな悪党のクライド役。ご自身ではいかがですか。
僕を何の作品で知ってくださったかによって、みなさんの僕に対する印象がまったく違うんですよ。先日まで『ハリー・ポッターと呪いの子』でロン・ウィーズリー役を演じましたが、「ハリーの方が似合うんじゃないか」と思った人もいるし「ロンね。わかる」という人も「ドラコの方が似合いそう」と思った方ももいたんですよ。 僕を舞台『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎役で知ってくれた人もいるし、ミュージカル『ダーウィン・ヤング 悪の起源』のニース・ヤング役で知ってくれた人もいるし、『ジャージー・ボーイズ』のボブ・ゴーディオのイメージをずっと持ってくださっている方もいる。僕と何の作品で出会ったかによって、僕のイメージが違うので、それはすごく嬉しいことだと思っています。

―それはすごい!悪役という点ではいかがですか?最初にクライド役だと聞いた時には?
これまでに演じたすごい悪い役は『人間風車』(2017年)ぐらいかな…。ただ、僕は悪い役をやる時に「悪をやるぞ」と思わないんです。「悪にも信念があるはずだ」「悪をやろうと思って悪をやっていないはずだ」と考えるので。一般的に良いとされていることが、ある人にとっては悪いことになる可能性もあるでしょう。特に今は多様性時代と言われて、何が本当の正解か、簡単にはわからない時もありますよね。クライドは結果として殺人を犯してしまうので、それは許されないことですけれども、その行動には何か彼なりの正義があるはず。 そうでなければ、これほど大衆に支持されなかったと思うんです。「皆に英雄視までされたのは、彼らふたりがただの悪党ではなくて、何かひきつける筋の通ったことがあったから」と捉えるとこから始めていて、今のところ、僕はクライドを悪いやつだとは思っていないんです。それこそ「正統派のヒーローをやるぞ」「世直しするぞ」ぐらいのつもりでいます。

―これまでの印象とは、また違うクライドになりそうですね。
僕は特に時系列に沿って変化していく彼の姿を描きたい。ただ悪を働くだけなら、何も共感できないですよね。むしろ僕はお客様を僕らの仲間に引き込みたい。「あなたもこの時代、この世の中の方が間違っていると思うよね。じゃあ、一緒にぶっ壊さないと」という気持ちです。その勢いで、クライドとしてお客様を引き込んでいく自信はあります。

―ますます楽しみになってきました。クライドの外見的に考えておられていることはありますか?
製作発表会見では意識して髪型をクライドのイメージにしてみました。これから体作りも徐々にしていこうと思っていますね。

―どういう体作りを?
若いアメリカ人男性という説得力があるといいなと思っています。まだイメージですが、炭鉱で働いていそうな感じがいいかな、とか。クライドが炭鉱で働いていたということではなく、1920~30年代の現代に比べて実年齢よりも大人に見える男性の感じを出したいです。

―作品によってお客様の矢崎さんのイメージが違うというのは、体作りからという役作りの姿勢もありそうですね。
役作りの姿勢などは、俳優の先輩や演出家の方々に教えていただいたことですね。確かに僕は役によって、毎回、イメージが変わると言っていただくことが多く、お客様は僕にいろいろな印象を持たれているかもしれませんが、『ボニー&クライド』が開幕して僕にクライドとしてのイメージを持ってもらえたら、また1つ自分の引き出しが増えるので、たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。

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―物語のポイントになりそうなのは、まずはボニーとの出会いの場面でしょうか?どうお考えですか?
史実として諸説ありますが、僕の考えでは、クライドが「世の中を何か変えたい」「夢を叶えた大物になりたい」とひとつの道を叶えようと思って走っている時に同志を見つけたという感じでしょうか。
ふとした出会いで彼女を知って会っていくうちに、最初は恋だったのが愛に発展し、絆と呼べる関係になっていって。その流れをとともに、犯罪も加速して止まらなくなってお互いに衝突してしまう。ボニーとの出逢いはクライドにとって確実に起爆剤なので、2人の関係性も丁寧に描きながらやっていきたいと思います。
物語の中でクライドを追い込んでいく出来事がたくさん起きるんですね。刑務所に入ったこと、刑務所で暴行に遭ったこと。バックという兄とバローウ・ギャングとして犯罪を犯しますが、そこで兄嫁のブランチが加わったり、そうしたクライドという役を形作る要素がたくさんあるので、うまく表現していきたいなと思います。

―さて、今回はこれまで何度もご出演されてきたシアタークリエで主演ですね。
シアタークリエは、思い出の地。ずっと僕に挑戦をくれて、僕の血も涙も全部詰まっているところです。そこで主演をやらせていただける。これまでのいろんな苦労がこの『ボニー&クライド』で花開けばいいなと思います。

―最後に、楽しみにしている方へ、まだ迷っている方へもメッセージをいただけますか。
楽曲を知っていただくと、この作品のテイストが一気に伝わると思います。製作発表会見で歌った曲は『♪ピクチャー・ショー』と『♪残すのさ名前を』でしたが、更にパワフルに感じるナンバーもあるんですよ。楽曲のパワーが物語を牽引していると思います。
クライドとボニーは史実だけ見ると「なんだ、ただの悪党たちか」と思ってしまうかもしれませんが、この作品を見て「悪党にも悪党なりの矜持がある」「こうするしか方法がなかった時代背景があるんだ」と、クライドとボニーについて調べたくなったり、様々な楽しみ方をしていただける作品になると思います。観劇後に何か1歩踏み出せるような感覚になる作品なので、是非、多くの方に観ていただきたいです。

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ミュージカル『ボニー&クライド』
東京:2025年3月10日(月)~4月17日(木)シアタークリエ
大阪:2025/4/25(金)~30(水)森ノ宮ピロティホール
福岡:2025/5/4(日)~5(月祝)博多座
愛知:2025/5/10(土)~11日(日)東海市芸術劇場大ホール
<キャスト>
クライド・バロウ:柿澤勇人/矢崎広(Wキャスト)
ボニー・パーカー:桜井玲香/海乃美月(Wキャスト)
バック:小西遼生
ブランチ:有沙瞳
テッド:吉田広大/太田将熙(Wキャスト)
エマ/ファーガソン州知事:霧矢大夢
シュミット保安官:鶴見辰吾

石原慎一/彩橋みゆ、池田航汰、神山彬子、齋藤信吾*、社家あや乃*、鈴木里菜、焙煎功一、広田勇二、三岳慎之助、安田カナ
*=スウィング

<スタッフ>
脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ドン・ブラック
音楽:フランク・ワイルドホーン
上演台本・演出:瀬戸山美咲
製作:ホリプロ/東宝
公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/bonnieandclyde2025/
https://www.tohostage.com/bonnie_and_clyde/