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『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』開幕!家族の、人としての普遍的なあり方を問う、心を揺さぶる物語

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2025年4月17日(木)より、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、日本初演の幕が開けた。出演は、寺島しのぶ、吉柳咲良、富本惣昭、名越志保、松尾貴史。取材会には寺島、吉柳、松尾が登壇した。

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本作は、娘・レイチェル(吉柳咲良)が摂食障害を患ったことで浮彫になる、ある家族のすれ違いと苦悩・葛藤を描く。

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今は弁護士の母(寺島しのぶ)が主に家計を支え

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父(松尾貴史)は建築家として次のチャンスを狙っている家に、摂食障害で入院していた娘レイチェル(吉柳咲良)が、状態が良くなり帰宅してきた。

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レイチェルの弟(富本惣昭)は、母からのプレッシャーを上手くかわしているように見えるが

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レイチェルは正面から受け止めているように見える

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摂食障害者施設のセラピスト(名越志保)はプロとしてレイチェルを見守る。

施設から帰宅した直後は、レイチェルの食事には常に誰かが見守っていなければいけない。完治することが難しい病だとされる摂食障害の治療には、家族の全面的な応援が不可欠で。

母と娘だからこそ、笑い合え、理解し合える…と思ってしまうのだが…。

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摂食障害が大きなポイントとなっているが、実は摂食障害だけにとらわれることなく観てほしい、家族の、人としての普遍的なあり方を問う、心を揺さぶる物語だ。

東京公演は5月6日(火・祝)まで、5月10日(土)~11日(日)に京都劇場 で上演。上演時間は約2時間(休憩なし)。

 

【取材会】

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寺島:なかなか難しい家族の話です。21歳の娘が拒食症にかかってしまい、一時外泊許可が出てうちに戻ってきた週末を家族と過ごしていく話です。私たちの家族、弟がいるんですけど、それぞれが複雑です。もちろん娘に治ってほしいっていう愛は一緒なんですけれども、愛のかけ方が違うという、その部分が非常に難しい。でも、普遍的な家族の話なので、来てくださるお客様には何かしら感じていただける話にはなっていると思います。ハッピーハッピーな話ではありませんが、確実にちゃんと残る作品になっていると思います。

(演じる)ジョーンは稼ぎ頭で、移民で弁護士として成功して這い上がってきた女性です。常に物事を白か黒か、物事を勝ち負けで考える。娘が摂食障害になった原因も、もしかしたらここにあるんじゃないかと思える結構きつい母親です。ただ、娘のことを大好きだから故にやってしまう、時として娘をこういう目に遭わせてしまう。親が子供に対してどう接していくのか。良かれと思ってやっていても、言葉の受け取る側が痛いと思うと、それは傷となってしまう。自分の夢をムリに押し付けたりとか、そういう言葉をどんどんジョーンは娘に投げつけていくので、お客さまに出てけ!と言われると思いましたね。

吉柳:レイチェルは摂食障害という、この舞台の大きなテーマを抱えていますが、言いたくても言えなかったこと、自分の本当にやりたいこと、心の中では思ってることが多い子だったので、台本から汲み取れることもすごく多かったし、自分にとてもよく似ているなという印象が強かったので、この子をどう最終的に作っていこうかとすごく考えながら稽古をしていました。
簡単には先に進めない辛さやしんどさを、ちゃんと自分が体感するべきだと考えて、そこを重点的に台本を読んでいると思います。

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松尾:稽古はとても和やかに進んでおりましたが、深い内容の戯曲でありますので、掘り下げようと思うと、いくらでも答えが出てくる、面白いアプローチがたくさんあちらこちらからできるような台本で、取り組み甲斐がありました。で、とにかく、演出家の稲葉さんがよく喋る。(笑)これでもう言葉が湯水のように巧みにというか、豊かにというかで。
こうであるのだ、こうしてもらわねば困るっていう、そういう人もたのもしい場合もあるでしょうけど、そうじゃなくて、一緒に考えていきましょうという、そのディスカッションをふんだんに用いて作り上げていったので、本当にみんなで作っている作品という感じがします。

吉柳は選択することについて「『相手の気持ちを汲み取った上で選択していたら、それは相手のことを思ってるから自らの選択と言えるのだろうか』『自らでしてきた選択、自分が選んだ道はなんだったんだろうか』みたいなことをここ5年ぐらいひたすら考えています」とも語っていた。ゲネプロを観劇した後には、その言葉のようにレイチェルが考えていたら…と幾度も思い返され、決して他人事ではない、身近な物語だと感じた。心に深く刺さり残る舞台です。

舞台『リンス・リピート ーそして、再び繰り返す―』
東京:2025年4月17日(木)~5月6日(火・祝) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
京都:2025年5月10日(土)~11日(日) 京都劇場
<スタッフ>
脚本:ドミニカ・フェロー
翻訳:浦辺千鶴
演出:稲葉賀恵
美術・衣裳:山本貴愛

<キャスト>
ジョーン:寺島しのぶ
レイチェル:吉柳咲良
ブロディ:富本惣昭
ブレンダ:名越志保
ピーター:松尾貴史
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/rinserepeat2025/