ネリー・アルカンは、2001年に作家としてデビュー。仏文学界で権威のある文学賞にノミネートされ、一躍有名作家の仲間入りを果たした。その小説はかつて高級娼婦だった自身を反映したオートフィクションであったため、彼女自身にも大きな注目を集めることになり、8年間作家として生きたのち、2009年9月、36歳で自宅のアパートで首つり自殺をしているのが発見された美貌の女流作家だ。
「Discover Nelly Arcan(「ディスカバー ネリー・アルカン -ネリーを探して-」 通称:DNA)」プロジェクトは、本、映画、舞台で繰り広げる。カナダ建国150年を記念しての企画。
9月には彼女のデビュー作となった「ピュタン」をパルコ出版から翻訳の松本百合子の改訂訳で発売。
10月には、昨年トロント国際映画祭にてプレミア上映された、ネリーの半生を描いた映画「ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で」をYEBISU GARDEN CINEMA他順次ロードショーする。
そして、11月には松雪泰子主演の舞台「この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える あるいは、失われた七つの歌」を、東京・銀河劇場と広島・北九州・京都・豊橋にて上演する。
10月2日にカナダ大使館において、このDNAプロジェクト発表会見を行った。
登壇したのは、舞台「この熱き私の激情」に出演する松雪泰子、小島聖 松雪泰子 霧矢大夢、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、奥野美和、霧矢大夢という豪華女優陣と、演出家のマリー・ブラッサール、書籍「ピュタン」の翻訳者・松本百合子。
芦那すみれ 初音映莉子 宮本裕子 奥野美和
松本百合子 小島聖 松雪泰子 霧矢大夢 マリー・ブラッサール
この舞台はネリ―が残した4編の小説をコラージュ。舞台には写真のような部屋がつくられ、そのうち7つの部屋に女優6人とダンサーが1人ずつ。ダンサーはそれらの部屋を行き来するが、6人は部屋に留まったままダンサーという7人の女性が登場する。部屋の前にがガラスがあり、互いには見えないという、これまでに見たことがないようなセットが設けられる。
数日前からワークショップが始まり、演出家のマリーとキャストも交流がはじまった中で行われた発表会ということで、作品に触れ始めたキャストの率直な声を聞くことができた。
松雪泰子は、死に対する執着が語られる「影の部屋の女」を演じる。「1つ1つすごく綿密に、繊細に作り上げていく舞台です。非常に集中力が必要になる作品で、皆さんといい作品になるようにしっかりと稽古し、素晴らしい作品を届けたいと思います」「(ネリ―は)死を選んでしまったけど、本当はそうじゃない理想の世界で生きたかったじゃないかという思いが痛いほど伝わってきました」と語った。
天空の部屋の女を演じる小島聖は「これだけ人と会話をしない舞台は初めての経験。どんな舞台になっていくのか、楽しみにしている」
血の部屋の女を演じる霧矢大夢は「稽古初日からマリーさんと楽しいディスカッションをしています」「自分なりの光を放つことができるように努力していきたい」
これまでにない、想像を超えた舞台が生まれそうな予感のする発表会となった。
<公演概要>
PARCO Production
「この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌」
■スタッフ
原作:ネリー・アルカン
翻案・演出:マリー・ブラッサール 翻訳:岩切正一郎
振付:アンヌ・テリオール・奥野美和 音楽:アレクサンダー・マクスウィーン
美術:アントネン・ソレル 衣装:カトリーヌ・シャニオン
照明:ミッコ・ヒンニネン 音響:井上正弘 ヘアメイク:川端富生
演出助手:大江祥彦 舞台監督:小笠原幹夫
プロデューサー:毛利美咲 製作:井上肇 後援:ケベック州政府在日事務所
企画製作:㈱パルコ
■キャスト
松雪泰子 小島聖 初音映莉子 宮本裕子 芦那すみれ 奥野美和 霧矢大夢
■東京公演
公演日程=2017年11月4日(土)〜11月19日(日)
会 場=銀河劇場
お問合せ=パルコステージ 03−3477−5858 http://www.parco-play.com
■地方公演予定
広島公演 2017年11月23日(木) アステールプラザ広島 大ホール
北九州公演 2017年11月25日(土)〜26日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
京都公演 2017年12月5日(火)〜6日(水) ロームシアター京都 サウスホール
豊橋公演 2017年12月9日(土)〜10日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール