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ミュージカル『マタ・ハリ』 加藤和樹 インタビュー 「2018年の年明け一作目にして自身最大の壁」「僕のすべての経験を落とし込んで臨む」

ミュージカル『マタ・ハリ』は、パリで人気を博したダンサーでありながら、第一次世界大戦中にスパイとして処刑された女性を主人公に、2016年に韓国で初演された作品。  『ジキル&ハイド』など、数々の大ヒットミュージカルを生み出してきた作曲家フランク・ワイルドホーンのゴージャスな楽曲とドラマチックな物語が感動を呼び、大ヒットとなった。
その『マタ・ハリ』が2018年の年明けに日本で上演となる。
スターダンサーであり、スパイとして過酷な戦争を生きたミステリアスな女性、マタ・ハリ役に柚希礼音。そして彼女をめぐる2人の男性、フランス諜報局の大佐ラドゥーとその部下アルマンの2役を加藤和樹が回替わりで演じる。

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Asatageは、前回の柚希礼音&加藤和樹のインタビューに続いて、加藤和樹への単独インタビューが叶った。
舞台ではミュージカルからストレートプレイまで、映像では俳優・声優として、そして音楽活動と、めざましい活動を続けている加藤。
その原動力を、この『マタ・ハリ』という作品への思いを通して探ってみた。

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ミュージカル『マタ・ハリ』柚希礼音&加藤和樹インタビュー

―今回、回替わりで2役というのは驚きました。加藤さんが「自分は器用な方ではない」とおっしゃるのを耳にしたことがあったので、余計かもしれません。
最近は「苦手なことを苦手なままにしてはいけない」と思うようになり、いつでも準備しておけるように空いている時間を使ってバレエやタップダンスやジャズダンス、乗馬のレッスンに通ったりしています。すぐ役に立たなくても、やったことは必ずどこかで生きると思うんです。
器用にこなせる人が羨ましいと思いますが、こなすだけになってはいけないと思いますし、今回は自分が2人いるつもりで2つの役に向き合っていこうと思っています。
ラドゥーとアルマンという役について、年齢的なことについては、もう少し年を重ねたらアルマンがつくりづらくなるとお話しましたが、経験がないとできないこともあります。ミュージカルを始めたばかりなら日替わりの2役は無謀な挑戦だと思いますが、「今の加藤和樹だからオファーした」と言って頂けるのはとても有難いことです。

―日本版でどう描かれるのか未知数ですが、韓国版を観る限りでは、ネタバレを知ってからもう一度観ると、また全然違う人に見えてしまうような複雑な人間関係であり、人物像ですね。
ラドゥーは静かに考えている姿が多く、どちらかというと自家発電をしていかないと難しい役だと思います。マタ・ハリから受けて、感情を作っていくんですが、その感情を増幅させるためには根底にあるマタ・ハリへの思いやアルマンとの関係に対する嫉妬心を深くさせないといけないだろうと感じています。

―嫉妬心ですか。加藤さんは舞台ではいわゆる悪役を演じることはなかったように思いますが…。
悪役というかダーク系は映像など他の仕事では結構やっているんですけれどね。(『ロミオ&ジュリエット』の)ティボルトも悪役に見えるけれど、違いましたしね。
でも実は、人間って悪い人っていなかったり・・・しますよね。ラドゥーも彼の意志ではなく、時代や環境、上司命令で仕方なかったこともあるでしょう。この作品では人は何かに縛られて生きているという、とても切なくむずがゆいことも描かれています。特に戦時中はどこで誰が糸を引いているか分からないところもある。生きるために騙し騙され、いろんな感情が目まぐるしい作品だと思います。

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―演技に加え、楽曲も難しいそうですね?
僕の人生経験と役者経験、音楽活動も・・・すべての経験を落とし込んで臨まないと、壮大な音楽なのに胸が締めつけられるワイルド・ホーンの楽曲を歌い上げることができないと思います。2018年の年明け一作目にして「自身最大の壁が来る」と思っています。

―「最大の壁」とおっしゃるわりに・・・楽しそうですね。
そう、乗り越えるものがないとね。(にっこり)ハードルは高い方がいい。乗り越えた時の感覚も、得るものも、やっぱり違います。今までも「無理じゃないかな」と思っていたことにチャレンジし続けてきた。年齢を重ねても、無難な道は選びたくないと思います。

―ファンの方は、きっとそんな加藤さんの姿を楽しみにしてらっしゃるんですね。
ファンの方も共に壁を登っている感覚になって頂けると嬉しいですし、その支えがあるからこそ「がんばろう!」と思います。

―ここでちょっと2017年を振り返って頂いていいでしょうか。
毎年いろんなことに挑戦してきていますが、年明けの『フランケンシュタイン』は一筋縄ではいけない今年を象徴する壁でしたね。それを乗り越えて、久々のストレートプレイの『ハムレット』と『罠』。その間にはライブもあり、声優活動も頻繁にやらせて頂いて、それが全部、自分の身になっていると感じています。いろんなフィールドで培ってきたことが、それぞれのフィールドでも生きてくる。「今まで選択してやってきたことは間違ってなかった」と再確認できた年です。
だからこそ、これがつながる来年はもっと楽しいことになるだろうなと感じています。この『マタ・ハリ』もそうですし、いろんな役をやって、挑戦していきたい。まだ見ぬ世界を見たい。その思いは何歳になっても変わらないと思います。そして、それを観客のみなさまにも体験して頂きたいです。

― 観客と一緒に次々と新しい世界へ行く…?
それがこの仕事をさせて頂いている意味だと思います。経験できないことを体感できる。作られたものだけど、経験できないはずの世界へ(観客を)一気に連れて行くことができるのは、僕等のお芝居次第。だから、とても素敵な仕事だといつも思っています。

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―しつこいですが、改めて今年得たものは?
う~ん…。精神的にも追い込まれて、改めて「お芝居とは演じるものじゃないんだ」と気がついたことですね。ジョン・ケアードの演出を受けた『ハムレット』で、自分でも思いがけない感情や動きが出た時に、そう思いましたね。相手からちゃんと受け取って、ちゃんと発するということ。演技ではない気持ちのやり取りなんだと、すごく感じました。

―そう伺うと、一層この回替わりの2役が過酷に思えます。毎回違う人間として同じマタ・ハリに恋をするのですから。
まずはラドゥー、アルマンという違う人格をしっかり作り込むことですね。韓国で観た時に、ラドゥーの方はなんとなく想像できる気がしました。ただアルマンは・・・(ため息)。実はアルマンはどちらかというと僕の苦手なタイプです。キラキラした王子様は・・・。あまりやったこともないですし。(だんだん小声に…)

-キラキラのアルマンと、渋いラドゥー!! 加藤さんの2役がますます楽しみになりました!
はい、がんばります!

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ミュージカル『マタ・ハリ(MATA・HARI)』
■公演日程
[大阪]2018年1月21日(日)~1月28日(日) 梅田芸術劇場メインホール
[東京]2018年2月3日(土)~2月18日(日)  東京国際フォーラム ホールC
■チケット料金 S席13,000円 A席9,000円 B席5,000円(全席指定・税込/東阪共通)
■出演    柚希礼音 加藤和樹/
佐藤隆紀(LE VELVETS) 東啓介/西川大貴 百名ヒロキ/栗原英雄/和音美桜/福井晶一 ほか
■スタッフ  [脚本]イヴァン・メンチェル  [作曲]フランク・ワイルドホーン
[作詞]ジャック・マーフィー [訳詞・翻訳・演出]石丸さち子
■お問い合せ(10:00~18:00)梅田芸術劇場
(東京)0570-077-039 (大阪)06-6377-3800
official site  http://www.umegei.com/matahari/
Twitter  @matahari_2018

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ヘアメイク:CHIHARU  
スタイリスト:立山功
SEVESKIG(STUDIO FABWORK tel 03-6438-9575)
Bennu(D,E.N inc. tel 03-6447-5685)、JUHA(tel 03-6659-9915)