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笑顔と抱負にあふれた「第43回菊田一夫演劇賞」授賞式 喜びの涙も

大衆演劇の舞台で優れた業績を示した芸術家を表彰する「第43回菊田一夫演劇賞」授賞式が4月26日(木)に行われた。
演劇大賞を受賞した株式会社ホリプロ ファウンダー最高顧問 堀威夫と代表取締役社長 堀義貴、演劇賞を受賞した城田優、戸田恵子、神田沙也加、原田諒、特別賞を受賞した甲斐正人が登壇。喜びの表情を見せた。

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甲斐正人  原田諒  神田沙也加  城田優  堀義貴  堀威夫

「第43回菊田一夫演劇賞」受賞者

[演劇大賞]
「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」上演関係者一同(ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」の高い舞台成果に対して)

[演劇賞]
城田優(ミュージカル「ブロードウェイと銃弾」におけるチーチ役の演技に対して)
戸田恵子(「Sing a Song」における三上あい子役の演技に対して)
神田沙也加(ミュージカル「キューティ・ブロンド」におけるエル・ウッズ役の演技に対して)
原田諒(ミュージカル「ベルリン、わが愛」、ミュージカル「ドクトル・ジバゴ」脚本・演出の成果に対して)

[特別賞]
甲斐正人(永年の作曲及び音楽活動における功績に対して)

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演劇大賞を受賞した 「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」上演関係者一同を代表して登壇した株式会社ホリプロ ファウンダー最高顧問 堀威夫と代表取締役社長 堀義貴。

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堀義貴      堀威夫

挨拶に立った堀威夫は「最初に演劇と関わり合いを持ったのは、『ピーターパン』でした。榊原郁恵をアイドルからどう展開するか、悩んでマネージメントのひとつのツールとして考えていた」と昔を振り返った。
受賞した「ビリー・エリオット」については、「どちらかというとスタッフより観客のひとり」と断りつつも「ひとつの演目でトータル7回観たのは、初めての経験だが、毎回感動を覚えた」「恵まれたスタッフのおかげで歴史ある賞を頂けたことを恐縮に存じております。遅ればせながら、業界の一員としていくらかでもお役に立てればと念願しています」と作品と将来への想いを語った。

浦井健治とW主演したミュージカル『ブロードウェイと銃弾』での、チーチ役の演技を評価されて受賞した城田優。
劇作家としての天性の才能を開花させたギャングのボディガードという役どころで、劇中では見事なタップダンスも披露。存在感を示した。

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城田優

「頭の中は真っ白」と話し始めた城田。「このチーチという役でこの賞を頂けたことに感謝すると共に、誇りに思います。チーチという役は、一人の力でなく、共演者・スタッフすべての人が作ってくれたものだと思っています。何よりもお客様の空気によって、その日の芝居が変わった“生もの”です。受賞の喜びをすべてのみなさんと共有できたらいいなと思っています」と感謝を伝えた。
初挑戦と言っていいタップダンスについては「何度も心が折れそうになった」にもかかわらず「とにかく良いものを皆さんにお見せしたい、自分の限界を超えたい」という思いで取り組んだと明かした。
最後は「今後もエンターテインメントを通して、ミュージカル・歌の力を通して、その力を信じる皆さんに笑顔を、勇気を、元気を、やる気を、届けられたらと思います」と、今後の活躍に期待ふくらむコメントで結んだ。

「Sing a Song」における三上あい子役の演技に対して受賞した戸田恵子。

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戸田恵子

まず、キャストとスタッフに深い感謝を述べた戸田。「演じた三上あい子役は歌手の淡谷のり子さんが行軍慰問されていた数年間をモチーフにしたもの。お国のために戦う兵隊さんのために生きることの喜びを与える歌を歌いたいと願い、故に軍歌を歌うことを拒み続けました。舞台上ので華美な衣装も真っ赤なルージュも自分の戦闘服だと言い続けて命がけのプロ根性を見せました。そんな三上あい子の役は、私にとってもハードな役でした」と振り返った。
「スタッフ・キャストのみなさんがあたたかく支えて下さって、無事に千秋楽を迎えられたこと、誇りに思います」「この賞に恥じないように、これからも地道に精進して参りたいと思います」と、作品とスタッフ・キャストへの誇りと感謝にあふれたコメントを述べた。

ミュージカル「キューティ・ブロンド」におけるエル・ウッズ役で受賞した神田沙也加は「こういう場で言いたいことを簡潔にまとめるのが得意ではないので」とメモを見ながらのコメント。

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神田沙也加

「初舞台から作品ごとに演出や指導をして下さる先生方のおっしゃることに必死でくらいつき続けていたら、いつのまにか10年が経っていました。先輩方からみれば、本当にひよっこですけれど…」「その間、この賞を受賞する同年代をうらやましく思ってきました。この賞は、私にとって大きな目標でした」と語りながら言葉を詰まらせた。「誰から決められたのでもない、自分の選んだ大好きな道に少しだけ自信がもてるような、誇ることができるような気がしています」と、喜びの涙を浮かべながらも笑顔を見せた。
「キューティ・ブロンド」は、2019年に神田の主演で再演が決定している。楽しみな公演となりそうだ。

宝塚歌劇団のミュージカル「ベルリン、わが愛」、ミュージカル「ドクトル・ジバゴ」脚本・演出の成果に対して受賞した原田諒。

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原田諒

「受賞を初めて聞いたときは驚いて言葉がでませんでした」と原田。「(受賞した)2作品は夢ゆめしい宝塚の世界とは相容れないのかもしれませんが、挑戦できたのは宝塚の104年の歴史があったからだと思います。宝塚をおつくりになった小林十三先生は、新しいことへのチャレンジを決して忘れない方でもありました。菊田一夫先生は、女性ばかりの宝塚という劇団に人間のドラマを持ち込まれ、多くの名作を残されました。そうした小林十三イズムのようなもの、そして菊田先生の商業演劇としての劇作家・演出家としてのあり方が、自分の中に流れているとして、今回の作品を書くことにつながっているとしたら、すごく幸せに思います」と述べ、さらに「宝塚ジェンヌの皆さんは、ひたむきに努力することを惜しまない人たちです。世界一だと思います。彼女たちの汗と涙と、いつも私を支えて下さるスタッフの先生方、時に共に戦い、頑張ってくださる裏方のみなさん、本当にみなさんのおかげです」「選考委員のみなさん、なにより劇場に足をお運びくださったお客様のおかげで、私ま今ここに立たせて頂いているのだと痛感しております」と宝塚歌劇団への愛と誇りにあふれたコメントを述べた。

永年の作曲及び音楽活動における功績に対して特別賞を受賞した甲斐正人。オリジナルミュージカルの作曲や、ミュージカルの音楽監督など、数多くの素晴らしい作品を手掛けてきた。

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甲斐正人

「学生時代に日本の演劇世界に生き生きとした豊かな音楽を提供できたら、この演劇の世界が大発展するのではないかという志を持って作曲家となりました。その帰結がミュージカル音楽となったわけですが、以来40数年、音楽環境は劇的に変化しました。その意味から、共に1つの作品をつくるために献身的に努力をしてくださるピアニストの皆様、ひとりひとりの歌手の技術的指導、精神的ケアをしてくださっている歌唱指導の皆様、一回一回の公演で最上の音楽を提供しようと奮闘しているオーケストラの皆様、そしてこれらの音楽を最新の注意を払って届けている音響スタッフの皆様、すべての音楽の仲間と今回の賞を頂きたいと思っています。今後はさらに新しい音楽づくりに精進し、後輩を育成することにも力を注いでまいりたいと思います」とコメントし、授賞式を終えた。