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圧巻の歌唱で綴る野望を実現していく迫力の物語 ミュージカル『エビータ』 メディアコール

7月4日、東急シアターオーブにてミュージカルの傑作『エビータ』が初来日公演の幕を開けた。初日に先立ってメディアコールが行われ、メインキャスト5人が挨拶に立った。

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アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞、ハロルド・プリンス演出というミュージカルの巨匠3人によって生まれたミュージカル『エビータ』。アルゼンチンの大統領夫人まで上り詰めたエヴァ・ペロンの半生を描いて、1980年のトニー賞で作品賞を含む7部門を受賞。以来、世界中で上演されており、1996年にはマドンナ&アントニオ・バンデラス主演で映画化もされた感動の名作ミュージカルだ。

今回の初日本公演は、1978年初演時のオリジナル演出版での上演。
そして、ブロードウェイ、ウエストエンドで『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャン役でトニー賞ノミネートされたラミン・カリムルーが、物語の案内役チェ役で出演している。幾度も来日し、人気の高いカリムルーだが、日本で全幕のミュージカルに出演するのは今回が初めてで、注目を集めている

【メディアコール】

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ハロルド・プリンスの愛弟子である本作のアソシエイト・ディレクターのダニエル・カトナーの解説と共に3シーンが披露された。

1.『A New Argentina』一幕ラストの一曲であり、本作を代表するような曲。普通の人であったペロン(フィレイソン)とエヴァ(キングストン)が野心ふくらませ、大統領選をどう勝ち抜くか、話し合うシーン。まずすばらしい歌声に驚かされ、音楽・物語とずんずんと心奪われていく。
IMG_8757 カトナー:エヴァが組織した支援者たちが、力強いペロンとエヴァの野心のエネルギーに迫力を添えるエキサイティングなナンバー。
エヴァは貧しい家庭に育ち、父に見捨てられ15才から大都会に出るという決心を貫き、その野望のために多くの男性とベット共にし、一心不乱に進み、頂点に上り詰めたんです。

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2.『High Flying,Adored』チェ(カリムルー)がロンの大統領就任式でのエヴァのダンスがどのくらいの値をつけるかと見定める。
IMG_9032 カトナー:立場の違うチェとエヴァが攻撃し合うように言い争うナンバー。ハロルド・プリンスがティム・ライスから曲を受け取った時、チェはチェ・ゲバラを連想したという興味深いエピソードがある。だが本作では実際のチェ・ゲバラではなく、すべての人が平等であるという立場から行動する人です。エヴァも同じ志を持っていたが、自分の地位が上がるにつれて変わっていった…ということを踏まえて楽しんで頂きたい。

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3.『Don’t cry for me Argentina』エヴァが官邸のバルコニーから支援者たちに語りかける有名な場面で歌われる一曲。
IMG_9140 カトナー:エヴァとは立場や考えが違うチェだが、大きな影響力を持つ人間エヴァに尊敬の念を抱いており、その力を元々持っていた高い理想に向かって使って欲しいと願っていた。これが作品を流れるテーマでもあります。本作は長い間名作として有り続けましたが、デザインについてもあてはまり、それは衣装・美術を担当したティモシー・オブライアンがいたからです。本作の舞台セットはとてもブりヒト的で、なるべく作りこまず、できるだけシンプルに。たとえばベットが1つだけとか、ドアも枠はなく扉だけがあるといった表現をしている。それがハロルド・プリンス独特のスタイルであり、ドイツ表現主義、ロシアの演劇に大きな影響を受けています。

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ハロルド・プリンスは常々「劇場は大変神聖な場所。息づかいの聞こえるような場所、それが舞台であり劇場。だからこそ来場いただけるお客様には想像力を働かせて楽しんでいただきたい」と常々言っている。その思いに共感し、そのような仕事ができるよう、私もハロルド・プリンスのもとで15年研さんを積んでいます。

メディアコールの後には5人のメインキャストが揃って登壇した。

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イザベラ・ジェーン ラミン・カリムルー エマ・キングストン ロバート・フィンレイソン アントン・レイティン

エヴァ(エビータ)役 エマ・キングストン は「母や祖父がアルゼンチン出身で、私の家族はこういう時代を過ごしてきた。その中でエヴァを演じることは光栄です」。
日本でも人気のチェ役ラミン・カリムルーは「私にとって日本は第2の故郷。このすばらしい作品で戻ってこられてうれしい」と笑顔いっぱいで挨拶した。

公演は7月29日(水)まで、渋谷・シアターオーブにて