9月14日(金)博多座から開幕するミュージカル『マリー・アントワネット』の製作発表会見が、1万通の中から当選した、一般オーディエンス400名を迎えて、9月2日(日)に都内で開かれた。
花總まり、笹本玲奈らキャスト7名が登壇し、新曲を含む6曲を披露。音楽楽・編曲のシルヴェスター・リーヴァイも登場し、笹本玲奈が歌うリー・アントワネット役の新曲を伴奏。再演でよりゴージャスにロマンティックになった新たなミュージカル『マリー・アントワネット』を感じさせてくれた。
吉原光夫,昆夏美,ソニン,花總まり,シルヴェスター・リーヴァイ,笹本玲奈,田代万里生,古川雄大
ミュージカル『マリー・アントワネット』は、『エリザベート』『モーツァルト!』を生んだミヒャエル・クンツェ&シルヴェスタ―・リーヴァイにより誕生。2006年帝国劇場で世界初演された。
その後、ドイツや韓国での上演を経て、今回の再演は韓国上演で演出を手掛けたロバート・ヨハンソンによる新演出版となる。
会見の最初には、本作のプロデューサー岡本からキャストが紹介され、続いてキャストが挨拶をした。
岡本プロデューサーからのコメント
マリー・アントワネット役の花總まりについて【初演前、企画時にクンツェ&リーヴァイからイメージキャストとして挙がった。当時は宝塚歌劇団在団中で見送るしかなかったので、今回は感無量】
マリー・アントワネット役の笹本玲奈について【ドレスを美しく着こなすということでオファーを思いついた。その時は出産前でふっくらしていたが、出産を経て素敵な体型に戻って(よかった)。初演ではマルグリットを演じた彼女が、また別の役を演じるのは嬉しい】
マルグリット・アルノー役のソニンについて【日常もアグレッシブで繊細。探究心旺盛で稽古場でも予習復習を繰り返す人。歌の力強さはもちろん、行動力ある女性役ならソニンが結びつく】
マルグリット・アルノー役の昆夏美について【『ロミオ&ジュリエット』でデビュー後、2作目に岡本プロデューサーによる『ハムレット』に出演。シアタークリエでのコンサートで♪「100万のキャンドル」を聞いて、いつか本公演で聞ききたいと思っていた】
フェルセン伯爵役の田代万里生について【フェルセンは貴公子のイメージでキャスティングには苦労する役。田代は普段から育ちの良さを感じる青年。貴公子然とした雰囲気と知性を感じさせ、歌唱力を兼ね備えている】
フェルセン伯爵役古川雄大について【歌唱力もシビアなリーヴァイさんのオーディションをパス。『モーツァルト!』でも初日から千秋楽まで上昇のベクトルを描いたと絶賛を浴びた。公演後には必ずビデオをチェックにくるほど演技に熱心で真面目。イメージもフェルセンのまま】
オルレアン公役吉原光夫について【韓国で本作を見ながら「光夫くんにやってもらいたい」と思ってオファーした。彼が登場すると「演劇が始まる」という感じがする】
この他にも、佐藤隆紀・原田優一、駒田一、彩吹真央と多彩なキャストが出演する。
キャスト挨拶・コメント
花總まり: 岡本さんから初演時のエピソードを聞き、新演出版で出演させて頂くことが光栄ですし、身が引き締まる思いです。最後まで一生懸命頑張りたいと思います。
この3時間の作品の中で、マリー・アントワネットは一人の女性として、母親としてどんどん成長していき、フランス王妃として成長を遂げていく、常に前向きな女性だと思います。彼女が変わっていく生きざまを自分なりに追求して、皆さまにいろんなことを感じていただけたらいいなと思って頑張っていきたいと思います。
笹本玲奈:初演でマリー・アントワネットとは正反対のマルグリット・アルノー役で出演させて頂き、今回はマリー・アントワネット役で戻ってこられて、とても嬉しく思っています。幼い頃からの「帝国劇場でドレスを着て芝居をしたい」という夢を叶えて下さり、感謝しております。体型も戻りましたし、しっかりとドレスを着て、最後まで生きることができるよう頑張りますので、よろしくお願い致します。
マリー・アントワネットを演じる上で大切にしたいのは、最後まで誇り高さを捨てなかったことだと思います。そのヒントになったのは資料を読み込んでいく中で、王族は乳母に育てさせる時代にあって、4人の子供たちを自分の母乳で育てたいたことです。彼女のこだわりと芯の強さを感じました。決まり事に縛られた中で、自分らしい生き方を常に模索して生きていた女性だと思いました。今回のマリー・アントワネットは人間らしい部分がさまざまなところで描かれているので、そういうところを大切にしつつ、最後まで誇り高さを保ったマリー・アントワネットを目指していきたい。
ソニン:もう一人のMA、マルグリット・アルノー役を演じます。大役で光栄に思っています。マルグリットは本作で唯一架空の人物です。だから故に、この作品が持つメッセージを伝える役割を持つと思っています。出番も多く、曲もパワーがとても必要で、メンタルも含めて、カンパニーのみなさんの力も借りつつ、来年の1月まで上質な作品をお届けしたいと思っています。
マルグリットはマリー・アントワネットとは正反対で道端に暮らしているような最貧困層ですが、私が圧倒的に二人が違うと思うのは、マリー・アントワネットはとても小さい世界でしかモノを見てきていない女性で、マルグリットはいろんなものをいっぱい見てきた人だと思うので、目で勝負したいなと思っております。そしてマリー・アントワネットにであって、自分に欠けているものに気付いて成長していくマルグリットと、逆に変わっていくマリー・アントワネットを丁寧に描いていけたらいいなと思っています。
昆夏美:12年ぶりの上演で、改めて楽しみにされている方が大勢いるのだと感じています。12年前に観たときから大ファンで、日々感謝をしながら稽古をしています。マルグリットは心の変化が見られる役なので、ダイナミックさと繊細さが必要な役・女性だと思います。開幕までもがきながらマルグリット像を見つけていきたいと思います。
田代万里生:フェルセン伯爵という素敵なお役を頂き、しっかりと役目を果たしていかなければと思いながら稽古をしております。この作品とは、ゼロからの出会いとなりましたが、初演時とは楽曲も脚本も大改革されているとのことで、フェルセンがマリー・アントワネットを回想する歌から始まり、プロローグとエピローグがあるかたちになっています。初演を演じた井上芳雄さんが稽古場にいらして数十分程稽古を見て「ほとんど知らない曲だった」と新鮮にご覧頂いたようです。ただの歴史大河ミュージカルでなく、この時代だからこそ届けたいメッセージがフィナーレでしっかり脚本・演出になっていると思います。
古川雄大:先ほどこの衣装で控室にいると、光夫さんに「きみだけ(『花より男子』の)道明寺みたいだね」と言われました(爆笑)。この衣装のように(田代万理生さんと)違いのあるフェルセンを演じていきたいと思います。
フェルセンはマリー・アントワネットの愛人ですが、常に自分にブレーキをかけて彼女に接します。彼女がいる時もいないときも葛藤している。その葛藤から生まれる憂いを自分のテーマにして作っていけたらなと思っています。
吉原光夫:本当はフェルセンがやりたかったのですが(笑)、それは遠い役だと思いながら稽古を見ています。今の(オルレアン公)役がしっくりきている感じです。
なぜ今この作品をやるのか、考えました。マリー・アントワネットは、世界で初めてメディアや新聞で中傷された人。そして嘘・偽りで殺された人。現在もSNSなどでそういうことが多かったりする。そんな中で、人が人としてアイデンティティーをもって自分として生きていくには…。マリー・アントワネットは殺されるわけですが、僕は稽古場で悲しみよりも芯のとおった強さ、生きるに値する力強さを(マリー・アントワネット役の)ふたりから感じます。オルレアン公を野心を持って何かを目指した、その時代の男としてしっかり演じていきたいと思っています。
歌唱披露 7名により新曲2曲を含む6曲が披露された。登場人物それぞれの情熱を体感できる渾身の歌声となった。
♪「100万のキャンドル」(昆&アンサンブル)
♪「遠い稲妻」(新曲:田代)
♪「私こそがふさわしい」(吉原)
♪「孤独のドレス」(新曲:笹本) 伴奏はシルヴェスター・リーヴァイ
♪「もう許さない」(ソニン&アンサンブル)
♪「あなたへと続く道」(花總&古川)
リーヴァイが「初日となる博多座での公演、帝国劇場の公演にも伺う。是非公演に足を運んで頂きたい。ありがとうございました」と会見を締めくくった。
新演出版 ミュージカル『マリー・アントワネット』
日程・会場
【福岡公演】2018年9月14日(金)~30日(日) 博多座
【東京公演】2018年10月8日(月)~11月25日(日)
【名古屋公演】2018年12月10日(月)~21日(金) 御園座
【大阪公演】2019年1月1日(火)~15日(金) 梅田芸術劇場メインホール
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン
(遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より)
キャスト:
マリー・アントワネット:花總まり、笹本玲奈
マルグリット・アルノー:ソニン、昆夏美
フェルセン伯爵:田代万里生(福岡、東京のみ出演)、古川雄大
ルイ16世:佐藤隆紀、原田優一
レオナール:駒田一
ローズ・ベルタン:彩吹真央
ジャック・エベール:坂元健児
ランバル公爵夫人:彩乃かなみ
オルレアン公:吉原光夫
他
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