4月2日より、東京・新国立劇場 中劇場、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて、パルコ・プロデュース『三十郎大活劇』が上演され、劇団EXILEの青柳翔が主演を務める。
本作は、戦前の、激動の日本映画史の中で、一夜にしてスターとなった紅三十郎(青柳)とその仲間たちの映画と愛と平和を愛した彼らの青春物語。鈴木聡作・演出で1994年に上演された物語『三十郎大活劇』を、ラサール石井の演出で装いも新たにリバイバル上演する。
劇団EXILEのメンバーとして劇団公演のほか、サイモン・ゴドウィン演出の『ハムレット』、こまつ座『人間合格』などに挑み、主演映画『たたら侍』は第40回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞するなど、様々な姿を見せてきてくれた青柳翔。今作の舞台への意気込みを語ってくれた。
― 『三十郎大活劇』の戯曲をお読みになった印象はいかがでしたか? また、この作品を2022年に演じることの意味をどのように考えますか?
この作品に含まれている熱やメッセージ性は、僕たちが努力して芝居をすれば、その時代を知らない人や、わからない人にも伝わるのではないかと思いました。
例えば、今は「放送局によっては、この描写はダメですよ」や「こういう作風だと、こういうものはダメですよ」、「スポンサーさんが何々なので、こういうことはダメですよ」、「映画だったら、ここまではできます。でもR指定は入ります」みたいな制限がよくあるじゃないですか。もちろん、それは配慮する点ではありますが、ものを作る上で制限され過ぎるのはあまり良くないのではないかなと僕自身は思っているので、この作品にもそういうメッセージみたいなものが入っていると感じました。
― そういう意味では、今のほうが94年のときよりも響くものがあるのかもしれませんね。
僕はそんな気がしています。今、当時のいわゆる銀幕スターと呼ばれるカッコいい人たちの作品を観ていますが、めちゃくちゃカッコいいんです。その中でも、たとえば凄い風を浴びながら演じているシーンなど、これは今やったらコメディーだよなと思うところもあって(笑)。そういう滑稽さみたいなところも楽しく表現できたら面白い舞台になるんじゃないかなと思っています。
― 具体的にどのような作品をご覧になっているのですか?
『用心棒』は以前も観ましたが、もう1回観ました。やっぱりカッコ良かったですね。『椿三十郎』も2回観ました。やたら肩を回していましたけど(笑)。あとは、『血煙高田の馬場』は、前半は酔っ払いの演技が多いので参考になるか分かりませんが、走るシーンがあって・・・とても躍動感があるので、そこは今回の舞台でも参考になりそうですし、ラストの立ち回りも凄かったので、現代のようなキレイな殺陣とは違うのでチャレンジする価値があるのかなと思いました。『丹下左膳余話 百萬両の壺』も観ました。見栄を切って首を動かす動きがとても気になって、家で鏡を見ながらやったんですがなかなかできないんですよ。ただの変な人みたくなっちゃって(笑)。
― ポスター画像がとてもインパクトがあります。当時の銀幕スターのような格好をされていかがでしたか?
おのずと撮影スタジオ現場に入るとき、調子に乗って(銀幕スターのように)「よろしくぅ!」と言ってしまいましたね(笑)。
― 青柳さんがこの舞台で目指すカッコ良さとは? ラサールさんとお話しされて掴んだものはありましたか?
ラサール石井さんが、当時の銀幕スターが新しく出てきたときのような佇まいを演じてほしいと仰っていたので、それを目指していこうと思っています。この作品の熱やスピード感に適応しつつ、自分の良さも出せるように頑張りたいです。
― 銀幕スターを演じるのは難しそうですか?
とても難しそうです(笑)。まず、歌舞伎を観ておかないといけないなと思いました。僕は今まであまり歌舞伎に触れることがなかったので、歌舞伎を掘り下げていくことがとても勉強になるんじゃないかなと考えています。昔の作品では、口角を下げて台詞を喋る人がよくいるんです。そういうところなどを、どこまで実際に演技として取り入れるのかわかりませんが、研究していきたいですね。
― 今回青柳さんが演じられる紅三十郎という人物をどのように捉えて、どんなふうに演じようと考えていらっしゃいますか?
それがすごく難しいんです。彼は悪い人ではないんです。でもその節々に、どう捉えたらいいんだろうと悩む、わからないセリフがけっこうあるんです。野心なのか、そうではないのか。人を悪く言ってるようにも聞こえるし・・・、そこのさじ加減が難しい。基本的には悪い人ではないので、彼の野心をどうチラつかせて表現していくかは、まだまだ探っていかないといけない。稽古の間に色々なことにチャレンジして自分らしい紅三十郎を表現できたらと思っています。
― 30年近く前の作品を、今の時代に合わせた舞台として皆さんに届けるという、その一番の意味や楽しさって何だと思いますか?
当時の人たちには、「あのときの情熱ってよかったよね」と思ってもらえるような内容にもしなきゃいけないと思ってます。そして、僕のファンの人たちはたぶんその時代の映画関係のことに詳しくないかもしれないけれど、それでもやっぱり「楽しいな」、「こういう時代があったんだな」、「これって今の時代にも当てはまるんじゃないかな」と思ってもらえるような芝居をしたいと思っています。
― 銀幕スターに対して、青柳さんが男として何か思うところはあるのでしょうか?
単純に三船さんはカッコいいですね。本当にカッコいい・・・。セリフ回しが単調なイメージがありますが、またそこもカッコいいんです。当時の人たちの殺陣は、映像技術によってスピードを変えられないですよね。今は編集で速く見せることもできますが、そういう技術が当時はないので、それであのスピードということは、実際に相当速いんです。
当時は、家で真剣を使ってろうそく切りをして練習していたという話も聞きます。今やったら相当ヤバいヤツですけどね(笑)。
― 青柳さんも殺陣の経験があると思いますので、そういうことを知ってるからこそ、その凄さがより分かるのかも?
僕もアクションをやることはありますが、お世話になったアクションチームのことを本当に尊敬しています。アクションチームの方々はその専門のプロですし、彼らは自分の身を削っているんです。毎日稽古されていて、やっぱりそのくらい極めていないとアクションも殺陣もダメじゃないのかと。アクションチームの皆さんには勝てないです。キャストの中に前の現場でご一緒したアクションチームの方がいるので、アップがてら稽古しようかな・・・とはいえ、今回あまり殺陣の場面はなさそうなのですが(笑)。まだわからないので何かやろうかなと思っています。
― 三十郎の葛藤の部分を演じるのはなかなか難しいかと思いますが。
三十郎が演技しているときと、していないときの差をどう表現しようかと考えていて悩むところではありますね。当時の人たちの喋り方は実際にはわからない。僕が勝手に思っているんですが、語尾を伸ばさないで割とコンパクトにストレートに話すようなイメージがあるんです。現代の喋り方ではいけないけれど、あまりやりすぎるとただ淡々と話しているように聞こえてしまう。観てくださる方に共感していただかないといけないので、そのニュアンスをどうするのか悩んでいます。
― ところで、舞台はドラマや映画と違ってキャスト方々との交流や一緒に過ごす時間が長くなりますが、青柳さんは積極的に交流されるタイプですか?
正直、相手から来てもらえないとできないタイプなので、今回は頑張りたいと思います。
頑張って自分から話しかけるようにします。
―コロナ禍で舞台公演が中止になったり、席が減ったりするような状況が続いていますが、人前で演じられるということをどのように捉えていらっしゃいますか?
お芝居の良い悪いはお客さんが決めることですし、それは僕らの責任なので「観て楽しかった」と思ってもらえる作品作りをしないといけない。でも、客席にお客さんがいて、初めて舞台で演じることができますし、お客さんの熱や反応によって作品が良くなる可能性もあります。お客さんと一緒に(舞台を)作っていくのも醍醐味なので、今はなんとか我慢をして、対策をしつつ進めていくのが大切なのかなと思っています。
― この舞台に参加することで期待していることは?
明るい話だと思うので、楽しみながらやりたいと思っています。意固地にならず、おおらかにお芝居できるようにしたいと思います。
― あらためて、青柳さんにとって舞台はどんなものですか?
うーん、そうですね・・・。筋トレみたいな感覚ですかね。舞台をやっていないと能力が低下していく気がして(笑)。身体も脳も、お芝居の質も含めて。スケジュールが合うのであれば、なるべく定期的に1年に1~2回は舞台をやりたいと、マネージャーに伝えています。
― 青柳さんが舞台に立つときにいつも心がけていることは?
頑張る気持ちがたくさんあるときも、マインドが良くないときも、自分でいい方向に持っていくようにしています。せっかくなら楽しんで行こうと。やっぱり、「今日も仕事やりたくないな」と思って向かうよりも「楽しみだな」と思ったほうが確実にいいじゃないですか。常に何かしらと闘いながらも、それでも「楽しくやっていこう」と言葉に出していると、実際にそうなっていくのでいつもそう言っています。あとは、あまり視野が狭くなっていかないように気をつけています。
― それでは、最後に舞台を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。
喜劇を作るうえで、楽しく風通しの良い現場が一番だとラサールさんも仰ってくださっているので、それに乗っかって楽しく稽古していくつもりです。鈴木聡さんの脚本とラサール石井さん演出のもと、豪華キャスト陣で必ず良い作品にしたいと思ってます。多くの方に観ていただいて、共感や感動していただけると思いますので、ぜひ劇場で楽しんでいただけたら嬉しいです。
【青柳翔 Sho Aoyagi】
1985年生まれ、北海道出身。2009年に俳優デビュー。2011年、劇団EXILEのメンバーとなり、劇団内外の舞台作品、映画・TVドラマなど幅広く活躍し、2016年には歌手デビューも果たす。2012年、映画『今日、恋をはじめます』で第22回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。2017年、主演映画『たたら侍』が第40回モントリオール世界映画祭最優秀芸術賞を受賞。WOWOW「アクターズ・ショート・フィルム2」では初めて監督に挑戦した。
近年の主な出演作は、舞台『MONSTER MATES』(19)、『ハムレット』(19)、こまつ座『人間合格』(20)、映画『jam』(18)、『孤狼の血 LEVEL2』(21)、ドラマ『13』(20)、Netflix『今際の国のアリス』(20)、『私の夫は冷凍庫に眠っている』(21)、など。
撮影:ナカムラヨシノーブ
パルコ・プロデュース『三十郎大活劇』
脚本:鈴木聡
演出:ラサール石井
出演:青柳翔/横山由依/入野自由 松平璃子 近藤公園/小倉久寛 ほか
企画制作:パルコ/二ベル
製作:株式会社パルコ
公式サイト:https://stage.parco.jp
ハッシュタグ:#三十郎大活劇
■東京公演
日程:2022年4月2日(土)~17日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
料金:
S席¥9,800 A席¥5,800 (全席指定・税込) ※未就学児入場不可
U-25チケット¥4,000
(観劇時25歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換/「パルステ!」、チケットぴあにて前売販売のみの取扱い)
チケット取扱:
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/sanjuro/
ローソンチケット https://l-tike.com/sanjuro/
イープラス https://eplus.jp/sanjuro/
一般発売:発売中
チケットに関する お問合せ:
サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~18:00※当面の間は月~金12:00~15:00までの営業)
公演に関するお問合せ:
パルコステージ 03-3477-5858(時間短縮営業中) https://stage.parco.jp
■大阪公演
日程:2022年4月23日(土)・24日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
料金:¥9,800 (全席指定・税込) ※未就学児入場不可
一般発売:2022年3月27日(日)
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888 [11:00~16:00 ※日祝は休業]
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