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『新世界ロマンオーケストラ』 清水くるみ インタビュー

今回、根本宗子作・演出・出演、上田竜也主演の『新世界ロマンスオーケストラ』に出演する清水くるみにインタビューの機会を頂いた。
本作は、“小劇場の星”と称された根本宗子が、アイドルグループKAT-TUNの上田竜也とタッグを組むという注目作。
そんな舞台に挑む清水くるみは、今作で舞台出演3作目。主演の上田以外にも、早織、青山美郷、長井短、宮崎吐夢、西村尚美、さらに根本宗子と、実に個性豊かな面々に囲まれた今作ついて、今の思いや意気込みを聞くことができた。

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―これまでにミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2013)と劇団☆新感線の『乱鶯』(2016)に出演なさっていますが、2作品を通じて学んだことはありますか?
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』では、初めて“姫”を演じたので、所作やドレスのさばき方などを学びました。いまだに衣装でドレスを着ることがあると当時を思い出します。他には、ハイヒールがとても苦手だったのですが、かなり練習して履けるようになりました。
『乱鶯』はコメディーで、古田新太さんから“間”を教わりました。それまで全然笑いが起きていなかった場面で、古田さんから「半テンポ遅めにセリフ出してみて」と言われて、その通りにやってみると、ドッカンと笑いが起こるんです。勉強になりました。それから、町娘役で衣装が着物だったので、着付けができるようになりました。一人で着るのは、少し難しいですが、ちょうど同じ頃に母が着物を着るようになったので、一緒に着物を着て京都に出かけたりもしました。

―仕事の取り組み方などでは?
見せ方です。舞台は映像と違って“寄り”がない、全部“引き”の状態です。映像だけでやってきた人にはできない動き方があります。演出のいのうえ(ひでのり)さんが教えてくださったのですが、それだけではなくて、周りの人から見て学んだりもしました。

―この『新世界ロマンスオーケストラ』のオファーが来た時のお気持ちはいかがでしたか?
元々根本さんの作品が大好きなので「いつか根本さんの作品に出演できたら」と思っていたのですが、まさかこんなに早くお話を頂けるとは思っていませんでした。オファーの電話を頂いた時には外に一人でいたのですが、思わず「わー!!」って叫んでしまい、同時に涙が出てしまいました。 (笑)

―根本さんの作品はたくさんご覧になっていたのですか?
「昔から応援してきた」とは言えるほどではないかもしれませんが、小さい劇場の頃からいくつも拝見しています。本多劇場で観たときには、「こんなに大きなところでやるんだ!」と感動しましたし、キャストが揃って舞台に出てきた時には興奮しました!

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―今回が三作目の舞台となりますが、進捗状況などをお聞かせください。
お稽古もまだ始まっていませんし、台本もまだ見れていないのですが、内容は聞きました。根本さんの世界観が現れていると感じました。根本さんの芝居を見ていなかったら不安に感じると思うのですが、私は根本さんの舞台で面白くなかったものはこれまで一つもなかったので、脚本は絶対に面白いと思います。それをどう私たちが料理できるか、私たちにかかっているなと感じています。

―根本さんからは何か声をかけてもらっていますか?
まだしっかりとはお会いしていないんです。根本さんが演出、出演されていた『皆、シンデレラがやりたい。』(2017年2月)に『乱鶯』でご一緒させて頂いた高田聖子さんが出演されていて、高田さんにご挨拶に伺わせていただいた時に「次に根本さんの芝居に出るなら、挨拶していったら」とおっしゃっていただいて、そこで初めて根本さんにお会いしました。「(根本さんの舞台が)大好きなので頑張ります!」とご挨拶をしただけなんです。

―俳優さんも個性的な方がそろっていますね。
そうなんです!みなさんの役柄を聞いて「これはどんな話なんだろう?!」と思いました。(笑)
自分が、まだどんな役なのかを聞いていない時点では、破天荒な役を想像していたので、この個性的なキャラクターの中で私はどう個性を出していくかを考えていました。でも普通の女の子の役だと聞いて「私はこの人たちと横並びに戦ってはいけないな」と感じました。共演者の皆さんは、個性が強い方が多いので、同じ土俵で戦うのはかなり大変だなと思ったんです。だったら私は自分の一番得意というか、今までも演じてきたような普通の女の子の路線をしっかりと演じられたらいいなと思っています。

―普通っていうのが一番難しそうですね?
“平凡な”とか“普通”というのが一番難しいから、今回に限っては個性をなくす芝居を心がけようと思っています。

―これまでの経験が活かされそうですね。
そうですね。でも、根本さんには根本さんの芝居のやり方がありそうなので、そこは柔軟にやらなくては!と感じています。

―では、他のキャストの皆さんと顔合わせもまだですか?
早織さんと青山美郷ちゃんは、以前から知っていました。美郷ちゃんは根本さんの舞台に出演しているのを見て「私と同い年で、すごい人がいる、私にはできないな」と思いました。その舞台を一緒に観た友達が美郷ちゃんと共演したことがあり、ご挨拶に行ったときに「すみません、友達になってください!」と申し出て、一度食事に行ったことがあります。どうやったらそういう芝居ができるのか、聞きたかったんです。
「友達になってください」と言ったのは、この時が初めてです。それくらいビビッと来たのだと思います。「負けたくないけど、今の私にはこんな芝居はできない…、悔しい…。でも、できるようになりたい…、友達になってください!」みたいな流れです。(笑) そして純粋に「どういう人なのかな?」という興味も湧きました。

―積極的な一面も持たれているんですね。
そうですね…、なんでもやりたいです。人生一回きりなので!

―本作の座長の上田さんにはまだお会いになっていないということですが、どんな印象をお持ちですか?
運動神経がいい!というイメージです。(笑)  スポーツバラエティ番組で走っているのを見て「熱い人なのかな」「座長についていきます!!」と意気込んでいます!

―上田さんとは恋人役ですか?
私も恋人の役ではありますが、出てくる女性がみんな上田さんが演じるバンドマン拓翔の恋人なんです。何股もかけるのか、次から次へと乗り換えるのかは、まだわからないのですが。今は「いろんなタイプの女の子と波乱万丈な恋愛をして最終的には私が演じる玲奈のところに戻ってくる…という感じのお話になるのかな?」と想像しています。根本さんは恋愛や女子の生態をとても上手く描かれる方なので、楽しみにしています。

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―他にも好きなお芝居はありますか?
いっぱいあります!城山羊の会、ハイバイ、倉持 裕さん、BED&MAKINGSなど、いろんな劇団が好きで、ザ・スズナリ、本多劇場、こまばアゴラ劇場など、小劇場によく観に行きます。毎月発表されている劇場のスケジュールを見て、好きな俳優さんや、面白かったお芝居に出ていた俳優さんが出ている作品を「この人が出ているんだから、きっと面白いに違いない!」と思って観に行きます。

―本当に演劇がお好きなんですね。グランドミュージカルみたいなものが好きなのかと思っていました。
華やかなミュージカルも、もちろん好きですよ!『キンキーブーツ』や、ブロードウェーで見た『ニュージーズ』は大好きです!! 日本で『ニュージーズ』を上演するなら、ぜひともオーディションを受けたいです!

―映画にも多数出演されていますね。舞台に映画にと、大変ではないですか?
まったく大変じゃないです。忙しい方が好きです!「寝ずに働くほど忙しくなりたい」と思っています。寝ずに働いている人の前で言ったら怒られそうですが「寝る時間がない」という感じになりたいです。「寝ないで働いているのが楽しい!!」と感じるんです。

―では、最後に本作への意気込みをお願いします。
脚本は絶対に面白いので、どうやって私たちがその脚本を活かせるかにかかっていると感じています。なにより根本さんとお仕事するのが初めてなので、根本さんの演出をしっかり受けとめたいと思っています。
個性的なキャラクターの中で埋もれないで、根本さんの世界で生きられるように頑張りたいと思います。

小柄でチャーミングな女の子といったイメージを持っていたが、いざ話しを聞いてみると、しっかりした自分の考えを気どることなく話してくれる。聞いていて実に気持ちが良く、エネルギッシュな芯の強い女性という印象を受けた。とにかく「舞台が大好き」で、本作で根本宗子と仕事ができることを何より喜び、すべてを吸収し大きくなろうとする気合いが、とても素晴らしいと感じた。
『新世界ロマンスオーケストラ』では、個性的な出演者の中で、どう“普通の女の子のきらめき”を見せてくれるのか。そして、これからどんな女優になっていくのか。楽しみが大きくなった。

公演概要
公演名:新世界ロマンスオーケストラ
脚本・演出:根本宗子
出演:上田竜也 清水くるみ 早織 青山美郷 長井短 根本宗子 宮崎吐夢 西田尚美
主催/企画製作:東京グローブ座
制作協力:ゴーチ・ブラザーズ
公式サイト:www.sekaroma.com

【東京公演】
公演日程:2017 年 4 月 30 日(日)~5 月 21 日(日)
会場:東京グローブ座
チケット料金:S席8,800円 A席7,800円 B席5,800円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
お問合せ:東京グローブ座 03-3366-4020
【大阪公演】
公演日程:2017 年 5 月 26 日(金)~28 日(日)
会場:シアター・ドラマシティ
チケット料金:8,800 円 (全席指定・税込・未就学児童入場不可)
運営協力:キョードー大阪
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888

あらすじ
間もなく 30 歳を迎えるインディーズバンドのボーカルを務める拓翔(上田竜也)に、メジャーデビューの話が舞い込んでくる。その日を境に一気に調子に乗り始める拓翔だったが、彼には隠さなければいけないスキャンダラスな秘密があった…。