少年社中25周年記念のフィナーレを飾る第42回公演「テンペスト」が、2024年1月6日(土)~ 21日(日)東京・サンシャイン劇場、1月25日(木)~28日(日)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。
ウィリアム・シェイクスピアの「テンペスト」をモチーフとして、毛利亘宏が大胆に脚色し、少年社中では4 度目のシェイクスピア作品に挑む。劇中劇も展開され、日替わりゲスト出演も。少年社中に縁深いキャストから初めて参加するキャストまで、“少年社中愛”溢れる最強の布陣で臨む、少年社中の魅力満載の作品に大きな期待が寄せられている。
Astageでは、ラン/エアリエル役の鈴木拡樹さん、カグラ/プロスペロー役の矢崎広さん、そして、少年社中の舞台に初参加となる、ヒナタ/ファーディナンド役の本田礼生さんにインタビューを遂行! 本公演への想いを語ってくれた。
― 今回はシェイクスピア作品になりますが、出演のお話があったときのお気持ちをまずお聞かせいただけますか?
鈴木拡樹(以下、鈴木)シェイクスピア作品は、解釈という点からいっても、なかなか難しいものがあると思うんです。色々な解釈ができる・・・、なので同じ演目でも違う役者さんが演じると、違う捉え方もできて広がっていく作品だと考えます。
だからこそ長年愛されているのだと思いますが、けっこう言葉遣いが難しい。それを少年社中さんはわかりやすく噛み砕いたものにして伝えてくれます。それゆえに、演じる者が理解度を高めることが大切になってくるので、事前準備には時間をかけないといけないと思っています。
― やはり挑戦したい気持ちは強くなりますか?
鈴木:僕は2009年に少年社中さんで「ロミオとジュリエット」をやらせていただきまして、今回、もう一度、少年社中さんでシェイクスピア作品をできるチャンスをいただけて嬉しかったです。
矢崎広(以下、矢崎):僕はこれまでシェイクスピア作品には何作か出演させていただいて、僕自身シェイクスピア作品が大好きなので他の作品も観ているのですが、「テンペスト」はシェイクスピアが描いた物語の中でもとびきりファンタジー要素が多いんです。少年社中もとてもファンタジーを大事にしているので、「テンペスト」×「少年社中」の親和性が凄く高くて面白そうだなと思いました。25周年のファイナルにこれを持ってきたんだ!と。
本田礼生(以下、本田):僕は少年社中さんのお芝居も初めてですし、シェイクスピアを題材にした作品を演じるのは初めてなので、どれだけ読み込んで吸収できるかが大事だと思っています。そして作品がどういう風に進んでいくのか、そのバランスが徐々に見えてきているので、少年社中さんの世界観を表現できたらいいなと思います。
― 色々な捉え方があるかと思いますが、どのように役と向かい合っていきますか?
鈴木:劇中でも劇団が出てきて、その劇団が25周年記念で「テンペスト」を上演という話が主軸になっています。そこに劇団員ではない男が入り込んでかき回します。僕はその劇団員ではない男“ラン”を演じますが、異物感が入り込んだことによって、みんなをどれだけ混乱させられるかがテーマであり使命。後半にかけては自分の昔の夢を思い出して、そちらに導くために自分の培ってきた力を使う役どころではあるので、前半と後半でガラッと役割も変わります。そういう変化を楽しみつつも、どう物語を動かしていけるのかを大事にしたいと思っています。
矢崎:作品のコンセプトは劇中で劇をやるということ。それぞれの役割を持ったキャラクターを描きながら、劇中劇では違う役を演じる・・・その歪みに今回、面白さがあると思っています。演じる役と役が重なる部分も多いと思うので、僕自身も楽しみにしていますし、未だかつて観たことのない「テンペスト」にしたいなと考えています。なので、自分はどういう表現をしていきたい、どういうふうに見せていくかは考えながら、稽古を進めながら変わっていくところもあると思うので、お客さんの想像も残しながら面白い作品にできればいいなと思っています。
本田:いま置かれている自分の立場と凄くリンクしていているような気がしました。役柄はとてもシンプルで、憧れている先輩たちが仲たがいしてしまうということに少しショックを受けて、自分も何とかしないとって奮闘する。でも、きっと上手くいっていないんだろうなと(笑)。自分はとにかくがむしゃらに臨むのがベストなのかなと思っています。
―劇の中で劇を演じることの難しさはどこにあるのでしょうか?
矢崎:観客の皆さんの視点をはっきりさせないといけないところはありますね。今その劇中劇に入ったんだという視点の切り替え。例えば今演じているのは楽屋裏なんだ・・・ときちんとわからせないと、いま何を観ているんだ?となってしまうので。
― ところで、先日発表された公演のイメージビジュアルがとても豪華です。実際にご覧になっていかがでしたか?
鈴木:キービジュアルはそれぞれが操り人形になっていて、今回の劇団少年社中の舞台「テンペスト」のコンセプトになっています。みんなが操られている中、自分だけ自由にしているっていう姿が面白いなと思いました。毎回、少年社中でビジュアル撮りするときって凄くワクワクするんです。事前に決めているコンセプトがあって、そこに当日「これもつけてみようか」とか言ってその場で作っていく作業がとても演劇的だなと感じて、それを見ているだけでも楽しかったです。
矢崎:毎回びっくりします。もはや少年社中名物になっているので、僕自身もそうですが、こういうアート作品になったか!というようにビジュアルを楽しみにしてる方も多くいらっしゃると思います(笑)。ただし、本編とは全く関係ないことがたくさん盛られていることもありますので(笑)。最近はちゃんと「※本編とは関係ありません」みたいに明記するようになってきているので、本番でびっくりする人はいなくなったとは思っていますが(笑)。
本田:とても楽しく撮影させていただきました。少年社中さんは初めてですが、関わってくださっているスタッフの皆さんの中には何度もご一緒させていただいている方もいたので、あのビジュアルからは想像できないほどキャッキャしていました(笑)。その時点で居心地の良さを感じていました。
― 今回日替わり出演者もいらっしゃって、そのメンバーも豪華です。やはり日替わりで違うキャストが入ってくる化学反応は大きいですか?
本田:今回は俳優人生の中で少年社中といろんな関わり方をしている人たちが集まってくるので、それぞれの少年社中との繋がり、付き合い方、思いを持ち込んでくださるんだろうなと期待しています。
鈴木:全員が“少年社中愛”を持っているっていう点が共通しているので、キャラクターは別物に映るとは思いますが、根本が一緒なので25周年にふさわしい方々だと思いました。
矢崎:日替わり出演者の皆さんの役は、割とキーパーソン的な存在で、ただの日替わりコーナーというわけではなさそうなんです。その演じ方によってはその日の雰囲気が変わってしまうようなところで出演される予定なので、楽しみにしていただきたいですね。
鈴木:毛利さんの信頼のおける人たちを集めていますよね。
矢崎:本当そうだと思う。
― 本田さんはそんな中に入っていくわけですね。
本田:はい、とんでもないメンバーですね(笑)。このラインナップと人数、嘘だろ!?って思いました。僕は日替わりという手法はとても難しいと思っているんです。もちろん良い方に働くと思っていますが、今回のラインアップを見たときに、これはもう純粋に楽しみにしておけばいいという安心感がありました。初めてご一緒する方もいれば、普段から凄く仲良くさせていただいている方もいらっしゃるので楽しみしかないです。
―“テンペスト”とには“嵐”“暴風”や“かき回す”というような意味がありますが、この作品はどんな作品になるとお考えですか?
鈴木:シェイクスピア作品って、受け取る方の解釈の違いはありますが、作品としてあまり崩さないところにも魅力があります。伝統的に受け継がれているものをしっかりと形にして届けるということが多い。しかし、少年社中で描く舞台は、それを基にして変化させることを魅力としているので、「テンペスト」という作品自体をかき回すような、そんな作品を届けられると思っています。ぜひ、原作の魅力と少年社中の魅力の両面を楽しんでいただければ嬉しいです。
矢崎:25周年を迎える少年社中は、この周年のファイナルに“劇団の崩壊と仲たがい”を演じるのは凄く面白いし、25周年やってきた劇団の過去に迫るような芝居になってくるんじゃないかなと思っています。いま、稽古場でそれを間近で見れることは凄く幸せなことですね。少年社中にとっても「テンペスト」になるような瞬間がたくさんある公演になればいいなと僕自身も期待しています。
本田:どんな舞台になるか、正直言うと全く想像がつかないというのが今の本音です(笑)。今回、拡樹さんと演劇舞台でご一緒するのが初めてで、広さんともちゃんと絡むのも初めてなんです。僕は先輩方の背中を見ながら、先輩方の渦巻いている姿を見ている。そこに風を吹かせてかき乱すところが自分とリンクしていると思うので、今から心待ちにしています。
― それでは最後に、公演を楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いします。
本田:記念すべき25周年というタイミングで出演させていただくことをとても光栄に思ってます。幕が上がるまでは不安も多少ありますが、とてもワクワクしています。ぜひ、鈴木拡樹さん、矢崎広さんの後に続く本田礼生を観ていただきたいです。俺もここにいるんだぞ!という光栄な気持ちが溢れています。初めて公式サイトに自分の名前があがったときに思わずスクショしちゃいましたから(笑)。
鈴木&矢崎:ホントに!?(大笑い)
矢崎:先ほども話しましたが、この25周年という少年社中が “劇団の崩壊と仲たがい”を描くということが楽しみでしょうがないんです(笑)。そういうところから劇団の偉大な気合いが伝わってきますし、25周年のファイナルで少年社中のお祭りだと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです。礼生くんのように初参加の俳優もいるので合わせて初めて(少年社中の舞台を)ご覧になるお客さまもいるはず。みんなで演劇を盛り上げる意味でも、たくさんの方に観ていただける公演になるはず、いや、なります! ぜひ、お楽しみに!
鈴木:今回はまず大前提に少年社中25周年を祝いたいという気持ちでいっぱいです。この作品を皮切りにもっと30年40年50年とどんどん飛躍していく劇団少年社中を見たいので、しっかり祝って少年社中が持つ魅力をお客さんにダイレクトに伝わる圧倒的な魂を全力でみんなでぶつけて、最後にみんなでほっこりと、気持ちいい笑顔とかになれていたら、大成功と言えるのかなと思います。そこを目指してみんなで頑張っていきたいなと思います。
撮影:ナカムラヨシノーブ
少年社中 25周年記念ファイナル
第42回公演『テンペスト』
日程・会場:
<東京公演>2024年1月6日(土)~21日(日) サンシャイン劇場
<大阪公演>2024年1月25日(木)~28日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
原作 ウィリアム・シェイクスピア
脚色・演出:毛利亘宏
出演:井俣太良 大竹えり 田辺幸太郎 長谷川太郎 杉山未央 山川ありそ 内山智絵 川本裕之
鈴木拡樹 本田礼生 萩谷慧悟(7ORDER) なだぎ武 山﨑雅志(劇団ホチキス) 鈴木勝吾 矢崎広
チケット:<全席指定> ※未就学児入場不可
一般:9,500円(税込)
U-19:2,000円(税込 19歳以下枚数限定)
社中ありがと割:8,500円(税込)
公演特設HP:http://www.shachu.com/tempest/
少年社中公式HP:http://www.shachu.com/
少年社中公式X(旧 Twitter ):@shonen_shachu
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