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「これこそ究極のラブストーリー」 『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』土居裕子&大森博史インタビュー 「大きな愛情を持っているか?」と問われる作品

2020年9月に公演を予定しながら、感染症拡大のため公演延期を余儀なくされていた『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』が、2021年2月24日(水)〜28(日)に上演される。
本作は、 “ロミオとジュリエット”という名前の老夫婦を主人公に、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の台詞を抜粋し大胆に再構築した作品で、2009年に英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)で上演され、絶賛を博し世界各地で上演されているラブストーリーだ。
出演するのは、土居裕子、大森博史という演技の手練れの二人だけ。
公演の延期にもくじけずに、稽古を続けてきたおふたりを稽古場に訪ね、本作に寄せる思いを聞いた。

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―9月の公演が延期になり、その後、公演日程の記載がない公演チラシを拝見したときは驚きました。公演日が決まらなくともお稽古を続けていることが伝えられ、並々ならぬ公演への熱意を感じました
土居:「公演日未定」のチラシはインパクトがありましたか?演出の荒井遼さんのアイデアです。一度完成させて稽古を終えましたが、本当に楽しい稽古でした。

―翻訳監修の松岡和子さんも加わったリモート稽古の映像をYouTubeで拝見しました。
土居:稽古ではなく、最初の打ち合わせや本をつくる段階ですね。最初は難しく感じたところもあったのですが、松岡さんを含め、荒井さん、大森さん、みんなで一緒に台本を上演できる方向へもっていく作業を始めて…
大森:ちょっと深いところにあった良いものを、なんとかして導きだしたい、表現したいと時間をかけて丁寧に読み込んでいくうちに、作品への理解を深めることができ、「なるほどなぁ」というわかるものになりました。
土居:難解でしたが面白い作業でしたね。コロナのために公演日未定という事態になっても、逆にそのおかげで時間がもらえてじっくり心置きなくしっかり話し合いができたので、とても素敵な作品になってきていると思います。

―松岡さんが少女のようにときめいておられたのが印象的でした。
大森:そうなんです!本読みで「そこを楽しみにしていたの」「これはどういう風に言うの?」ってね。
土居:初めての本読みをリモートでしたときには、松岡さんが泣いてしまわれました。シェイクスピアをとても愛していらっしゃるから。
大森:それに、ある程度年を重ねてこられた方にとっては、この作品はとてもわかるところがある作品だと思います。

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―「ロミオとジュリエット」と聞くと、ストーリーが鮮烈に思い出されますが…
大森:ストーリーは別物です。
土居:でも純愛なんです!

―原作の『ロミオとジュリエット』は、純愛ではあるのでしょうが、若者勢いで…という感じもしています。
大森:そう、誰でもそれは楽しいでしょうね。
土居:あの二人は死で終わっているから永遠になりましたが、死ななかったら、たぶん別れていますよね。(笑) 俳優も若い時に売れても、継続できなければ終わってしまいますが、ある程度の年齢になってから売れている方は「この人は確立されたものを持っている」「本当にすごい人」と感じがしますでしょ。この作品はそっち狙いですね。(笑)

―それこそが本物ですね。
土居:そうです!お若い方がご覧になったら信じてもらえるかもしれませんし、同年代でしたら「そういうことをやってみようかな」と。
大森:主人公は、年齢の設定が僕らよりもう少し上で、死を近く考えている二人なのです。

―今は、年齢に関係なく死が近くに思えてしまう状況ですね。原作で、神父様からの手紙がロミオへ届かなかった原因も、使者がペストのために足止めされたからだそうですね。
土居:そう考えると、今、やるべくしてやる作品なのかもしれないですね。

―ミュージカルではなく、ストレートプレイなのですね?
大森:はい。ただムービングというかコンテンポラリー(ダンス)のような動きを入れています。
土居:いわゆるダンスを踊るわけではなくて、夫婦のひとりが病気という日々の繰り返しの中で、病状や状況、ふたりの関係性が変わっていくところを、お芝居だけではなく、ムーブを交えてお見せします。
大森:それがとてもいい感じで、伝わりやすくなる可能性が高いなと思っています。

―言葉だけでなく、全身での表現になるのですね。
土居:はい。振付をしてくださった方が、コロナ禍ということで「触れないで愛を表現する」ということを、最初のワークショップでとても大切にやってくださって、それがもうとても面白かったです。
大森:それで互いの関係が強まることがわかって、強く結びついていることが探れて、よかったなと思います。

―「ストレートプレイでシェイクスピアの台詞を組み合わせた演劇」と聞くと、言葉に頼った演劇かと思ったのですが、お話を伺ってイメージが随分と変わりました。
土居:荒井さんの演出は映像的かもしれません。映像が浮かんだ瞬間に、彼の中で音楽も流れているような感じがしました。
大森:イメージショットが並んでいる芝居…といった感じでしょうか。「あれを知ってなきゃダメ」というようには絶対にしたくない。
土居:そうですね。大森さんはシェイクスピア作品をたくさんやっていらっしゃいますが、私は1本もやったことがないですから。
大森:意外だよね。
土居:私のようにシェイクスピアを知らない方が観にきてくださることも想定しています。そんな方が観劇後に「ちょっと原作を読んでみようかな」と思ってもらえたらいいなと思っています。

―では難しいのかも…と心配しなくてもいいですね?
大森:僕らがやるときには「すごくわかる!」というかたちでお届けしたいと思います。

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―土居さんの歌は聞けますか?
土居:歌います!大森さんがギターを弾いてくださって。
大森:空気がふっと変わっていいのではないかなと。

―スペシャルですね!では最後にひとこと、メッセージをお願いします。
土居:これこそ究極のラブストーリーではないかと思います。シェイクスピアの原作以上のラブストーリーで、私は原作以上に好きです。信じられるラブストーリーです。
大森:主人公の二人は、本当にちゃんと愛し合っている。自分にそれができるのか、大きな愛情を持っているかと挑戦されているような気がしています。そういうものを感じてもらえたら、伝えていけたらいいなぁと思っています。

 

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『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』
【作】 ベン・パワー
【翻訳監修】 松岡和子
【演出】 荒井 遼 【出演】 土居裕子 大森博史
【劇場】 東演パラータ (最寄駅 下北沢)
【日程】2021年2月24日(水)〜28(日)全9回公演
【チケット料金】
一般 ¥5800
U−35 ¥5000 (観劇日35歳以下対象)
U−25 ¥3500 (観劇日25歳以下対象)
※U−35、U−25共に枚数制限あり、要身分証明書、こりっち のみ扱い
※公演中止など、主催者がやむを得ないと判断する場合以外の払い戻しはいたしません。
※感染症拡大予防に対する取り組みとお客様へのお願いにつきましては、公演直前にウェブサイトにてあらためて掲載いたしますので、ご確認の上ご来場くださいませ。
※チケット購入時に登録の氏名、緊急連絡先は、万が一来場者から感染者が発生した場合など必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させて頂く場合がございます。予めご了承くださいませ。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
【ホームページ】 https://theatertheater.wixsite.com/tender2020
【ツイッター】 https://twitter.com/GEN_TO_play
【問い合わせ】 info.qlouds@gmail.com

公演情報については公式サイト等で、最新情報の確認をお願いいたします。